研究課題/領域番号 |
24680091
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
青木 耕史 福井大学, 医学部, 教授 (40402862)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 細胞増殖 / 細胞死 / 活性酸素 |
研究実績の概要 |
CDX1あとCDX2は、腸管上皮細胞の恒常性の維持に必須のホメオボックス転写因子である。これまでの解析から、CDX2が大腸腫瘍形成の初期段階を抑制することや、その機序としてCDX2が大腸癌細胞の細胞周期進行の抑制や、細胞生存を負に制御することを明らかにしてきた。H25年度までの解析から、CDX2の転写活性依存性に発現を制御している遺伝子群には、活性酸素量量を調節する可能性が想定される遺伝子が複数含まれていることがわかった。H26年度の解析から、それらの遺伝子群の中に活性酸素の調節に働く遺伝子があることがわかった。 また、H25度までの解析からCDX2により活性化するオートファジーも活性酸素量の増加に働くことがわかった。H26年度の解析から、大腸癌細胞が浮遊したときに、CDX2がオートファジーの活性化を介して、細胞死を促すことがわかった。このことから、CDX2は、大腸癌の転移過程における、細胞浮遊時の細胞生存を抑制していると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの解析から、CDX2が大腸腫瘍形成の初期段階を抑制することや、その機序としてCDX2が大腸癌細胞の細胞周期進行の抑制や、細胞生存を負に制御することを明らかにしてきた。H25年度までの解析から、CDX2の転写活性依存性に発現を制御している遺伝子群には、活性酸素量量を調節する可能性が想定される遺伝子が複数含まれていることがわかった。H26年度の解析から、それらの遺伝子群の中に活性酸素の調節に働く遺伝子があることがわかり、当初の目的に達成に近づいたと考えられる。 また、H25度までの解析からCDX2により活性化するオートファジーも活性酸素量の増加に働くことがわかった。H26年度の解析から、大腸癌細胞が浮遊したときに、CDX2がオートファジーの活性化を介して、細胞死を促すことがわかった。このことから、CDX2は、大腸癌の転移過程における、細胞浮遊時の細胞生存を抑制していると思われる。癌細胞が転移する際の生存制御機序の解明は進んでない。本研究課題の解析から、癌細胞の転移過程における新たな細胞生存機序の解明が進む可能性があり、当初の目的の達成に近づいたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度の解析から、それらの遺伝子群の中に活性酸素の調節に働く遺伝子があることがわかった。そこで、H27年度は、それらの遺伝子の大腸癌の発生過程における役割を明らかにする。H27-1)大腸癌細胞において、それらの遺伝子をTet誘導性に発現し、活性酸素の調節および細胞生存おける役割を解析する。H27-2)大腸腫瘍モデルマウスの腸管腫瘍におけるそれらの遺伝子の発現状態を解析する。H27-3)大腸腫瘍モデルマウスから初代培養したスフェロイドにおいて、それらの遺伝子の発現を誘導または、抑制することにより、腸管腫瘍細胞の生存におけるそれらの遺伝子の役割を解明する。 また、H26年度の解析から、大腸癌細胞が浮遊したときに、CDX2がオートファジーの活性化を介して、細胞死を促すことがわかった。その機序として、これまでの解析から、とくに細胞内のエネルギー量や代謝経路と密接な関係があると考えている。そこでH27年度は、CDX2によるオートファジーの活性化が細胞内エネルギーの調節や細胞内代謝とどのように関係しているのかを解析する。また、CDX2による細胞内エネルギーの調節や細胞内代謝経路の制御の、腸管腫瘍細胞の生存の制御における役割を解析する。H27-4)CDX2発現誘導時の、細胞内代謝産物の変動を質量分析法により解析する。H27-5)H27-4の解析から同定した細胞内代謝経路の変動と、活性酸素量およびオートファジーとの関係を解析する。H27-6)27-4の解析から同定した細胞内代謝経路の変動の腸管腫瘍細胞の生存の制御における役割を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究課題の実験も、概ね順調に進み、ほぼ当初の予定通りに研究費を使用した。一方で、機器の購入に際して、予定購入機種の価格が想定よりも低くなったため、繰越分が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験試薬の購入に使用する。
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