研究課題/領域番号 |
24681006
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
依田 憲 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10378606)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バイオロギング / 海鳥類 / 海洋環境 / 高次捕食者 / 動物行動 |
研究実績の概要 |
本年度は、鳥類搭載小型センサ(GPS)や生理生態学的手法を用いて、海洋環境の長期的(5年間)・短期的(1シーズン)な変動に対する海鳥類の行動的・生理的応答を明らかにすることを目的とした。2014年4月から11月にかけて野外生態調査を行い、新潟県の粟島と岩手県船越大島で繁殖するオオミズナギドリと、青森県蕪島で繁殖するウミネコ合計約100羽に対して小型GPSを装着して採餌域や採餌行動を特定した。また、採餌トリップを終了した親鳥から胃内容物を採取することにより、採餌域に分布する餌情報を取得した。さらに、衛星情報などを用いて採餌域の海洋物理・生物情報を収集した。粟島のオオミズナギドリに対しては、ジオロケータの装着と繁殖地での赤外線カメラの設置により、繁殖に関わるパラメータの取得を行った。また、オオミズナギドリとウミネコから採取した血液を分析することによって、テロメア長の変化と環境ストレスとの関係を分析した。 昨年度までに得られたデータと合わせて解析した結果、新潟のオオミズナギドリが日本海と太平洋の餌状況のバランスに応じて採餌場所を決めていること、2014年度のみ特異的にウミネコが広い採餌域を利用していたこと、オオミズナギドリのつがいが繁殖期における育雛コストを共有していること等の新しい知見が得られた。これらの海鳥類は、複雑に変動する海洋環境に応じて採餌を行なっており、つがいで育雛コストを共有しながら、給餌量を最適値近くに制御している可能性が示唆された。成果の一部をOgawa et al. Behav. Ecol. 等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りの野外調査を実施することができた。ただし、大量のデータを得た一方で、充分な解析を終えたとは言いがたい。今後、年間比較を含めた解析を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
野外調査が非常に順調に進んでおり、今後も同様に進めていく。今後は複合パラメータを計測するバイオロギングの導入とアクティブセンシングを行う装置の導入を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度に新開発されるデータ・ロガーを導入するため
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次年度使用額の使用計画 |
新開発されたデータ・ロガーの購入を予定
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