研究課題
ヒトにおけるヌクレオチド除去修復機構(NER)の先天的欠損は、高発がん性の色素性乾皮症をはじめとする、日光過敏症を伴う種々の疾患の原因となっている。研究代表者らは2012年、転写と共役したNER(TC-NER)の遺伝的欠損性疾患である、紫外線高感受性症候群の新規責任遺伝子としてUVSSAを同定した。本申請研究は、UVSSA遺伝子産物の機能解析を通して、DNA損傷箇所で停止したRNAポリメラーゼのユビキチン化によるバックトラッキング(待避)の分子機構を解明するとともに、TC-NER欠損性疾患のコケイン症候群と紫外線高感受性症候群とで大きく病態が異なる原因を明らかにすることを目的としている。まず、RNA polIIoユビキチン化のメカニズム解明のため、ユビキチン化に関わる因子を精製/部分精製し、in vitro再構成系を確立する事を試みた。その結果、UVSSAをはじめ、約8割のTC-NER関連因子の精製に成功した。引き続き、再構成系構築に向けて、残りの因子も精製を進めていく。精製と平行して、RNA polIIoをリビングセルで経時的に観察するシステムの確立に取り組んだ。その結果、蛍光融合polIIoを安定に発現する条件が定まり、紫外線によるDNA損傷誘発後のRNA polIIoの挙動を観察する事に成功した。さらに、新規NER関連因子を同定することにより、詳細なNERメカニズムの解明が可能となると考え、NER欠損性疾患患者で責任遺伝子が未知の検体を対象に次世代ゲノム解析を実施したが、現時点では新規NER関連因子同定には至らなかった。しかし、研究の過程で、DNA修復活性が欠損することで放射線感受性を示す新たな遺伝性疾患を同定する事に成功した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Protocols
巻: 10 ページ: 12-24
10.1038/nprot.2014.194.
Journal of Clinical Investigation
巻: 124 ページ: 3137-3146
10.1172/JCI74593.
http://www.nrgic.prj.nagasaki-u.ac.jp/