研究課題/領域番号 |
24681022
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 真平 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教 (20362395)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Feナノ粒子 |
研究概要 |
本研究は、核磁気共鳴画像(MRI)法によるがん診断のキーマテリアルとなる造影剤の開発を行う事を目的とする。 本研究では、①Feナノ粒子の磁気特性向上によるナノ粒子レベルの造影能改善技術、②がん部位へFeナノ粒子を効率よく到達させる体内動態制御技術、および③Feナノ粒子をがん細胞内に効率よく蓄積させる細胞内動態制御技術の開発を行う。H24年度は主に①Feナノ粒子の磁気特性向上によるナノ粒子レベルの造影能改善技術に関する研究を行った。具体的には、金属水素化物還元法を基に、世界最高の飽和磁化(Ms、170 emu/g以上)と優れた耐酸化性(大気曝露1000時間でのMs低下が10%未満)を併せ持つFe@Fe3O4ナノ粒子を合成する技術(高Ms化技術)を開発することである。 まず始めに、15nm程度のFeナノ粒子をモデル系として実験を行い、目的とする耐酸化性の確保に必要とされるFe3O4シェル厚を評価した。具体的には、シリカで被覆された状態のFeナノ粒子に対して酸化反応を行い、Feナノ粒子の表面にFe3O4シェルを形成させた。続いて、シリカ被覆を溶解・除去して得られるFe@Fe3O4ナノ粒子試料のMsの大気暴露時間依存性を測定することにより、その耐酸化性を評価した。様々な酸化反応条件を検討した結果、シリカで被覆された状態のFeナノ粒子を大気中に短時間暴露した後に、不活性ガス雰囲気下で500℃12時間熱処理したサンプルが所定の耐酸化性(大気曝露1000時間でのMs低下が10%未満)を示すことを見いだした。酸化鉄シェル層の膜厚は約2 nm程度であった。シェルがFe3O4で構成されている場合、170 emu/g以上のMsを得るのに必要なFeコアサイズは17 nm (Fe@Fe3O4ナノ粒子として21 nm) 程度であることが分かった。また実際に試料作製を行い、Fe@Fe3O4ナノ粒子分散液を得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度に予定していた研究計画がほぼ完全に遂行できたため
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今後の研究の推進方策 |
170 emu/g以上Msを有するFe@Fe3O4ナノ粒子を合成する条件は確立されており、p(PEGMA)修飾を行う。更に、p(PEGMA)修飾された試料の特性を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験補助者を雇用し、研究を推進する予定であったが、適当な人材が確保できず、当初の研究計画通りに研究を遂行することができなくなったため。 来年度の研究費と併せて実験補助者を雇用し、研究の遂行を促進させる。
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