研究課題
本研究では、ヒトの細胞(体積:数pL)と同程度の大きさを有するピコリットル空間内に、ヒトの細胞から単離した核を単一核レベル封入し、転写されて核外へ輸送されてくるmRNA(メッセンジャーRNA)を1分子レベルで高精度にカウンティングできる新しいマイクロデバイスと解析法を確立することを最終目的とした。これにより、これまでは発現量が極めて低く見落とされていたmRNAも高精度な定量が可能となるため、超早期に細胞の分化やがん化などの検出が可能となることが期待できる。26年度は、これまで構築してきたマイクロチャンバーを用いた実験系と、モレキュラービーコンによるmRNA検出の最適結果をもとに、細胞の分裂周期を同調させることで、本計測系の精度検証を行った。HeLa細胞を飢餓培養することで細胞周期をG0、G1期に同調してマイクロチャンバーとモレキュラービーコンを用いて核内mRNAを測定したところ、ほとんどmRNAは発現していないことを確認した。同調していないHeLa細胞を用いた場合は、幅広い蛍光シグナル強度分布が観察されたことから、核内mRNA量に応じて定量的に検出できていることがわかった。さらにマイクロチャンバー内にモレキュラービーコンをターゲットオリゴを導入した際の蛍光強度をもとに検量線を作成し、GAPDHの核内mRNAの定量を行ったところ、4,500-7,700分子の核内mRNAを確認することができた。これらの量は、すでに報告されている文献値(数千分子)と同程度の値であり、定量測定可能な計測系であることが実証できた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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