研究課題/領域番号 |
24681039
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
栗本 一基 京都大学, 医学研究科, 助教 (20415152)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ChIP-seq / Blimpl / PGC / 始原生殖細胞 / エピゲノム |
研究概要 |
個体を形成する細胞の多様性は、その遺伝子発現を規定する核内のエピゲノム構造に依拠している。しかしながら技術的な限界により、その知見は試料を大量に得ることができる細胞種にほぼ限定されており、その他の系譜についてはほとんど知見がない。この限界を克服するため、申請者はこれまでに クロマチン免疫沈降(ChIP)に適したタグを転写因子Blimp1に付与したノックインマウスの開発、微量なChIP DNAを次世代シークエンサーに適用可能にする増幅法の開発を行ってきた。本研究の目的は、申請者が開発した微量ChlP-seq法を用いて始原生殖細胞のエピゲノム動態を解明し生殖細胞の特性の核内基盤を解明することである。 平成24年度は、申請者が開発した、微量なChlPDNAをライブラリ化して増幅する手法を、次世代シークエンサーを用いて詳細に検証した。その結果従来の100分の1程度の細胞数における転写因子の結合部位を解析可能であることが明らかになった。また、ヒストン修飾についてもライブラリ調製・DNA増幅法の検討を重ね、従来よりも少ない細胞数でChIP-seq解析が可能になったことがわかった。 さらに、タグ付きBlimp1ノックインマウスからES細胞を作出した。このES細胞を用いて、申請者を含む研究グループで確立した始原生殖細胞様細胞(PGC-like cell : PGCLC)を誘導した。この細胞の作出により新規手法を用いたPGCLCにおけるBlimp1結合部位を決定しつつある。また、転写に関わる代表的なヒストン修飾についてもChIP-seq解析を進行中であり、PGCLCのエピゲノム構造を決定する準備が整いつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画よりも早く、微量試料からの転写因子ChlP-seq法のためのライブラリ調製・DNA増幅法を確立するこ,とができた。またタグ付きBlimp1マウスの量産とES細胞の導出も順調である。ただし、少数の細胞に対してChlPを行うと、免疫沈降のバックグラウンドに起因するシグナルノイズ比の低下という当初予想していなかった問題も発生しているため「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に変更はない。開発した微量ChlP-seq法を応用し始原生殖細胞のエピゲノム構造を解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、平成24年度に引き続きPGCLCをモデルとした始原生殖細胞決定過程におけるエピゲノム構造の動態解明を行う。Blimp1と、代表的なピストン修飾についてのChlP-seq解析を進める。
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