研究課題
本研究提案の主な研究項目は、1 DNA脱メチル化におけるPRDM14の機能ドメインの同定、2 PRDM14によるDNA脱メチル化誘導の動作原理及び分子基盤の同定、3 PRDM14によるDNA脱メチル化を介した多能性獲得機構の解明、の3つである。1 に関しては、現在、PRDM14の部分欠損・変異体を誘導的に発現できるPrdm14 KO ES細胞の作製がほぼ終了している。今後作製した細胞株を用いてPRDM14の機能ドメインの同定が期待できる。2 に関しては、PRDM14が多能性関連遺伝子領域、ゲノム刷り込み領域、生殖細胞特異的遺伝子領域の脱メチル化を誘導すること、またPRDM14によるDNA脱メチル化には能動的脱メチル化の引き金となるメチルシトシンの酸化および塩基除去修復経路が必須であることを明らかにした。今後、PRDM14によるDNA脱メチル化に関与する構成成分を網羅的に同定するためにLC/MS解析を行う予定である。3 に関しては、ES細胞をエピブラスト様細胞に分化させた後にPRDM14を発現させることで、ES細胞への脱分化を誘導できること、また2で示したPRDM14による能動的脱メチル化反応によってOCT3/4のKlf2領域への結合が促進されることを明らかにした。今後、PRDM14による能動的脱メチル化反応を介した多能性獲得がiPS細胞の作製時にも起きているかどうかpre-iPS細胞からiPS細胞への脱分化系を用いて検証する予定である。
2: おおむね順調に進展している
申請書で予定した内容がほぼ計画通りに進んでいる。1 DNA脱メチル化におけるPRDM14の機能ドメインの同定に関して。脱メチル化の機能ドメイン同定に必要な細胞株の樹立が終了した。2 PRDM14によるDNA脱メチル化誘導の動作原理及び分子基盤の同定に関して。PRDM14によるDNA脱メチル化にTET-BER経路関与していることを証明した。3 PRDM14によるDNA脱メチル化を介した多能性獲得機構の解明に関して。EpiLCにPRDM14を発現させることでES細胞への脱分化を誘導できること、またこの脱分化にはPRDM14による能動的脱メチル化誘導活性が必要であることを明らかにした。
今後は、PRDM14による能動的脱メチル化反応を高解像度で明らかにするために、構成因子の同定と反応過程の啓示的解析を行う必要がある。また、生理環境で起こるPRDM14による多能性獲得が人工リプログラミング(iPS)および病態時リプログラミング(癌幹細胞)においても機能しているかどうか検証する必要がある。
当初委託する予定だった次世代シーケンサー解析を次年度に行うことになったため。EpiLCにPRDM14を発現させたときのPRDM14の結合領域、メチルシトシン、ヒドロキシメチルシトシンの分布及びOCT3/4の結合領域の変化をChIP及び(h)MeDIP-Seqで網羅的に解析するために、次世代シーケンサー解析を行う。
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