多細胞生物において、生殖細胞は次の世代を再生産できる唯一の細胞であり、その能力は分化全能性と呼ばれている。生殖細胞が分化全能性を発揮するためには、遺伝情報の付箋紙の役割を担う化学修飾(エピゲノム)を消去する必要がある。本研究では、生殖細胞特有のタンパク質であるPRDM14によるDNAの脱メチル化機構とその生理機能解明を行った。その結果、PRDM14がメチルシトシンの代謝反応を活性化することで、塩基除去修復を介した脱メチル化反応を促進すること、またこの能動的脱メチル化反応を介して、山中因子の一つであるOCT3/4の標的遺伝子への結合を促進し、分化型細胞の脱分化を誘導することを明らかにした。
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