器官形成において、細胞は自律的に集まって機能的な細胞集団、すなわち「細胞社会」を構築する。しかし、in vitroで細胞を寄せ集めても、集団としての社会性は獲得されない。いったい、どのように社会性は獲得されるのだろうか?これは現代科学の未解決な問題の一つである。本研究では、ゼブラフィッシュ胚を脊椎動物の発生モデルと捉え、内胚葉由来器官、クッペル胞、体節形成過程に起こる細胞社会の構築メカニズムを解析し、細胞が社会性を獲得するためには、「適切な数」の細胞が適切に「移動」し、「集まる」ことが必要であることを見いだした。さらに、その社会性を生み出すための分子機構の一端も明らかにした。
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