脂肪酸は、有酸素運動の燃料や炎症メディエーターの原料として、細胞内で様々な用途に利用される。しかし、水に溶けにくいため、細胞内での輸送には脂肪酸結合タンパク質が必要とされる。本研究では、心臓型脂肪酸結合タンパク質が、細胞内の様々な長さの脂肪酸から特定の一種類を選ぶのではなく、エネルギー生産の燃料となる複数種類の脂肪酸をグループとして見分ける“あいまい認識”をすることを明らかにした。また、この脂肪酸鎖長選択機構は、水分子が関与する興味深いものであることが判明した。本成果は、メタボリックシンドロームや統合失調など脂肪酸が関与する疾患の分子メカニズムの解明につながると期待される。
|