研究実績の概要 |
・1969年における佐藤栄作首相と外務省の「核抜き・本土並み」返還の方針化の過程を再検討した。当初政府・与党内で、沖縄返還実現には特別取り決め(modus vivendi)が必要であると認識されていた段階から、なぜ特別取り決めなしでの対米交渉方針が決定されるに至ったのかについては、十分に明らかでないためである。 ・昨年度から継続している、沖縄返還合意後の日米協議過程を検討した。とくに尖閣諸島問題に関する米外交文書の収集と整理を行った。RG59, Subject Numeric Files, 1970-73, box 2589, 2590の文書と、オフラハーティ文書box 20, folder 4の文書などから、事実関係の解明と検討を行った。関連して、尖閣諸島の地位に関する佐藤政権期の日米台の交渉過程を考察した研究書の分担翻訳を行った(『尖閣問題の起源』)。 ・大河原良雄氏、枝村純郎氏、佐藤行雄氏、ウィリアム・ブリア氏、モートン・ハルペリン氏、ウィンストン・ロード氏、トム・ダイン氏、ハワード・マクエルロイ氏、チャールズ・シュミッツ氏など、日米の関係者へのインタビューを行った。 ・沖縄返還協定交渉中の、在米日本大使館の取り組みと米上院の認識について、資料とインタビューによる解明が進んだ。 ・外務省文書について、新規公開された沖縄返還のファイルを中心に整理を行った。加えて、長期的な視点から外交問題の推移を辿るため、外交政策企画委員会やソ連関係など対象を広げてファイルを調べた。 ・外務省外交史料館、アメリカ国立公文書館、ニクソン大統領図書館などで資料収集を行った。「20世紀と日本」研究会(2014年6月)、青山学院大学戦後政治史研究会(2014年9月)、日本国際政治学会(2014年11月)などで研究報告を行い、今後の研究課題を認識することができた。
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