研究課題
・特に、沖縄返還に伴う日本の安保政策上の決定がニクソン政権のデタント政策やアジア政策とどう関係していたのかを調べた。沖縄返還交渉と米中接近のプロセスの関係性を米側文書から検討し、楠田實総理秘書官が残した資料等から、1971年7月のニクソン訪中声明前後の時期における、日米関係・日中関係・米中関係の相関関係を検討した。これらの成果は次年度に論文で発表する予定である。・講和交渉・安保改定・沖縄返還という日米安保体制の重大局面における日米交渉の争点を、日本のアムール・プロプル即ちナショナル・プライドの問題の観点から再検討して発表した(4月)。従来各局面は国内争点を中心に説明されることが多く、日米間の争点が等閑視されている問題点を論じた。・昨年度より調べてきた、69年3月の佐藤栄作首相の「核抜き・本土並み」返還方針の表明に至る過程について、「本土並み」の言葉の多義性の問題を整理し、岸信介や木村俊夫等佐藤に近い政治家の認識を明らかにした。・非核三原則の国会決議に至る過程を検討した。先行研究は非核三原則を沖縄返還問題と日本の核政策の結節点として捉え、佐藤が沖縄の核兵器撤去を意図して三原則を提示した点を重視してきた。これに対し本研究では、佐藤だけでなく他の与野党の政治家や外務省幹部が急速に三原則に基づく政策論を展開するようになった事実に着目し、文書資料から三原則の国会決議の経緯を明らかにし、「55年体制」論からだけでは見えない「戦後の価値」と特徴づけ得る政治的価値の存在を示した。上記については論文で発表した。・ロドニー・アームストロング氏、有馬龍夫氏、加藤良三氏、黒柳明氏、佐藤行雄氏、佐藤龍太郎氏より、及び千葉一夫元北米第一課長の関係者より知見提供を受けた。また10月に原彬久氏より安保改定等に関する知見提供を受けた。枝村純郎氏へのインタビュー記録等に基づき、同氏の回想録の編集作業を行った。
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Japan Perspectives
巻: No. 16 ページ: 3-13
外交
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Social Science Japan Journal
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