研究課題/領域番号 |
24683004
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
多湖 淳 神戸大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (80457035)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 戦争 / 武力行使 / 国際法 / 正当化 / サーベイ実験 |
研究概要 |
本プロジェクトは、各国政府の戦争・武力行使をめぐる「法的説明」について、国際政治と国内政治の両観点に立った実証研究を目的としている。方法論として、(1)データベースの構築・分析に加え、(2)サーベイ実験を活用することとし、具体的には、以下の課題を扱うべく初年度の研究を進めてきた。 第一に、特定の法的説明(例、個別的自衛権)が援用される政治的要因を探ることとした。この点については、有斐閣より出される編著本に論文を寄稿する形で研究成果の発表が行われる予定である(2013年4月発行)。加えて、北米の専門領域雑誌であるConflict MaDagement and Peace Science誌より、自衛権発動の政治過程の統計分析の論文(Why Do States Fomally Invoke the Right of Individual Self-Defense?Legal-,Diplomatic-and Aid-Politics to Motivate States to Respect International Law)が採択され、近く掲載されることとなった。 第二に、他国がある国の法的説明を支持する際の政治的要因については、データセット構築のパイロットスタディを行った。この点は第二年度以降に実際のデータベース作成にとりかかる。 第三に、法的説明が紛争プロセスや国内政治に与える政治的影響を明らかにするため、サーベイ実験を実施することとした。東京大学大学院の池田真季氏からサーベイ調査上の具体的な助言を得て、2012年夏に実験を行い、池田氏とともに2本の論文を作成した。英文雑誌に投稿し、そのうち1本は欧米の雑誌でRevise and Resubmitを得て修正中である。もう1本はある雑誌よりRejectされたため、別の雑誌での投稿に向けて一部書き直しをしている。なお、日本語での概要説明は研究代表者のホームページで公開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すでに自衛権に関するデータベースの構築を完了している点で、計画通りに進行している。また、サーベイ実験についてはパイロットスタディではなく、雑誌投稿が可能な水準の調査ができたため、この点で計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
他国がある国の法的説明を支持する際の政治的要因について、データセット構築を進めるとともに、サーベイ実験については、英国の研究者との共同研究の形でさらに質の高い分析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の助成金のうち1524円は経費削減の効果もあって翌年度持越しとなった。ゆえに、同助成金については平成25年度経費と合わせ、主にサーベイ実験のために使用する予定である。
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