平成26年度は,企業調査を実施した。上場企業約3500社に加えて,従業員規模の大きい非上場企業1000社の合計4500社に質問票を展開した。回収サンプル数は,161社で回収率は,3.5%であった。質問票の作成に時間がかかったため,調査の実施時期が平成26年度の後半にずれ込んでしまい,企業の繁忙期に重なったこと,加えて1個人が実施した調査であるために,回収率が伸び悩んだものと予想される。 そのため,この質問票調査を用いた論文は,平成26年度ではないが,人材マネジメント研究における適合変数および柔軟性変数とソーシャル・キャピタル変数を収集しているため,これらの関係性を盛り込んだ論文や学会発表を行う予定である。 他にも,平成26年度は,既存のデータセットを用いて論文を作成し,ソーシャル・キャピタルに関する概念整理と操作化について検討した。この論文は,従来の社会ネットワークからソーシャル・キャピタルを捉えるのではなく,資源の観点から企業内のソーシャル・キャピタルを捉えなおすことを提示することで,個人レベルだけでなく,企業レベルでもソーシャル・キャピタルを捕捉することを可能にしている。加えて経営戦略論や経営組織論でも用いられている資源動員やケイパビリティなどの概念との接続可能性を秘めており,今後の研究可能性の広がりが期待できる。
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