研究課題/領域番号 |
24683013
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
FRANK Bjoern 東京工業大学, 社会理工学研究科, 助教 (30467039)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 消費者行動 / 国際マーケティング |
研究概要 |
顧客関係管理における成功要因の国際・国内差を解明するために、昨年度に設計した、消費者を対象にするアンケート調査および法人顧客を対象にするアンケート調査を両方拡張した。消費者を対象にするアンケートの内容は、品質属性、価格、カスタマーサービス、顧客価値創造、ブランド特性、スイッチングコスト、顧客ロイヤルティ、そして顧客の性格と文化性向である。一方、法人顧客を対象にするアンケートの内容は、顧客価値創造、新商品開発戦略、組織文化、営業利益である。消費者を対象にするアンケートについては、昨年度その内容を携帯電話及び洋服といった二つの製品に適用し調査を行ったが、今年度は、携帯電話に関する調査の範囲を海外に拡張し、米国、フランス、ボリビアで調査を行った。さらに、アンケートの内容を腕時計といった製品に適用し、それで日本及び米国、エクアドル、スリランカで調査を行った。法人顧客を対象にするアンケートについては、日本及びドイツ、スイス、オーストリア、東欧、中国、スリランカで調査を実施した。 発表した論文では、男女別による消費者行動を分析した。製品の購入にあたっては、女性は企業イメージを重視する一方で、男性は顧客満足度、知覚価値、人間関係によるスイッチングコストを重視する。男性らしい文化と女性らしい文化という国家差は、男女別による個人差と同じ傾向を示すことを見つけた。また、別の論文では、日本と中国における消費者行動を比較した。文化的かつ経済的な差の結果として、日本の消費者は知覚品質を重視する一方で、中国の消費者は知覚価値、企業イメージ、品質への購入前の期待を重視し、製品を評価している。別の論文では、消費者行動における、中国の地方における文化的かつ経済的な国内差を分析した。地方が発展するほど、知覚品質と企業のイメージの重要性が高まり、品質への購入前の期待の重要性が下がる等の結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
共同研究者の協力が快く得られたため、アンケート調査の範囲を当初の計画よりも速く広げることができた。法人顧客を対象にするアンケートについては、タイにおけるデータ収集を準備するための交渉に、予定したよりも時間がかかったため、タイのデータはまだ収集していないが、その代わりに当初予定しなかったオーストリアと東欧からデータを収集した。消費者を対象にするアンケートについては、予測した進捗を超えており、さらにフランスで膨大な調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に開始した、消費者を対象にしたアンケート調査及び法人顧客を対象にしたアンケート調査の範囲を広げ、他国に拡張する計画がある。具体的には、日本、米国、ドイツ、中国、フランスで調査を継続しデータ数を増やし、またタイから新たな調査を行う予定である。次に、収集したデータを分析し、研究成果を論文と国際学会で報告することを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
タイにおけるデータ収集を準備するための交渉に、予定よりも時間がかかったため、タイのデータ収集が遅れている。また、当初予定しなかったオンライン形式のアンケートを部分的に用いたため、アンケート調査にかかる費用(回答者用のインセンティブ等)が、データ収集の前ではなく、データ収集の後に発生するという状況に変わったため、平成25年度に収集したデータにかかる費用の一部を次年度に支払うこととなった。 次年度には、研究資金を、主にデータ収集の費用、研究協力者への謝金、そして研究成果の報告に使用する計画である。平成25年度に行ったオンラインアンケートの費用の一部は、26年度に繰越した予算で支払うことを予定している。
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