研究課題
平成26年度前期には、医療選択場面における自動的過程に対する意識的な介入の可能性を検討するために、アメリカの研究者の協力のもと、各国の大学生それぞれ100名前後を対象とした実験が行われた。日本とアメリカのそれぞれの国の参加者は、不快な音声ノイズを呈示された後、その嫌悪感を緩和するための処置を複数のプラセボの中から選択するように求められた。その結果、多重自動性モデルの想定と整合して、生得的な自動性を反映するものと考えられる嫌悪反応は意識的な統制に左右されない特徴を持つが、獲得された自動性を反映するものと考えられる効力感に関してはその限りではないことが見出された。平成26年度後期には、対人認知場面における生得的な自動性の通文化妥当性、ならびに獲得された自動性の文化依存性を検討するために、イスラエルの研究者の協力のもと、各国の大学生それぞれ80名前後を対象とした刺激作成、ならびに、各国の大学生それぞれ100名前後を対象とした実験が行われた。日本とイスラエルそれぞれの国の女性の顔写真をデジタル合成した平均顔が作成され、それぞれの顔の配分の異なるデジタル・モーフィング画像の印象評定を各国の参加者に求めた。その結果、多重自動性モデルの想定と整合して、生得的な自動性を反映するものと考えられる魅力評定には通文化妥当性が認められる一方で、獲得された自動性を反映するものと考えられる信頼評定には文化差が認められることが見出された。また、平成26年度後期には、育児場面における自動性の発達を検討するための母子面接・調査が行われた。乳幼児(1歳~5歳)とその母子40組を対象として、日常における意識的な編集が育児に対する顕在態度ならびに潜在態度に及ぼす影響が検討された。その結果、意識的な編集の効果は、獲得された自動性のみに見られ、生得的自動性には見られないことが見出された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Behavioral Decision Making
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1002/bdm.1868
教育心理学年報
巻: 53 ページ: 50-56