日本、アメリカ、イスラエルの研究者たちの協力のもと、医療選択場面、育児場面、対人認知場面など、日常の自己制御場面における意識と無意識の働きを検討する実験が行われた。これまでの研究では、意識されない心の働きはすべて無意識とひとくくりにされてきたが、本研究では、多重自動性モデルの想定に基づき、生得的な自動性と獲得された自動性という2つの自動性を区別し、日常の自己制御場面においてその比較を行った。生得的な自動性は、意識的にアクセス可能な文脈情報に影響されない頑健な特徴を持ち、獲得された自動性は意識的にアクセス可能な文脈情報の変化に柔軟に対応する性質を持つことが見出された。
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