平成26年度は、これまでに収集されたデータを整理し、縦断的分析をおこなった。分析の主な主眼は、養育態度と実行機能の関係の因果関係について検証することであった。 その結果、1) 3歳時点における、「過保護な養育態度」は、同時点における実行機能とは独立の効果として、1年後の4歳時点における実行機能を低めること、2) 「過保護な養育態度」は、遺伝的影響とは独立した環境要因(主に、共有環境要因)として実行機能の発達に影響を及ぼすことが明らかにされた。 次に、「過保護な養育態度」と別側面である「暖かい養育態度」、実行機能、実行機能とその概念を共有しながら異なる研究背景において発展してきた「エフォートフルコントロール能力」の関係について分析をおこなった。その結果、1) 「暖かい養育態度」が子どもの「エフォートフルコントロール能力」を高め、「エフォートフルコントロール能力」を媒介して、実行機能が高まるという方向性、 2) 「暖かい養育態度」は、遺伝的影響とは独立した環境要因(特に、共有環境要因)として実行機能及び「エフォートフルコントロール」能力に影響することが示唆された。 これらの研究成果の一部を国内学会にて発表した(シンポジウムにおける口頭発表及びポスター発表)。
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