研究課題/領域番号 |
24683025
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
袴田 優子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (30450612)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 認知バイアス / 核磁気共鳴画像 / 内分泌反応 / ランダム化比較対照試験 |
研究概要 |
新規心理介入法「注意バイアス調整治療(ABMT)」は、不安の強い者が情報処理の過程で示す特定の偏りを緩和するプログラムである。不安・恐怖の中枢である扁桃体に直接働きかけ、その過剰活動を沈静化させる可能性が示唆されるが、その神経生物学的作用機序については明らかでない。本研究では、申請者が開発した日本語版ABMTプログラムを用いて、不安障害に対して高リスクにある健常者を対象として二重盲検ランダム化比較対照試験 (RCT) を行い、その効果について神経画像や内分泌指標を含め多角的に検証する。さらに脳領域間の動的関係の追跡を可能にするfMRIと脳波の同時計測手法を用いてABMTの作用機序を明らかにすることを目的とする。 1.核磁気共鳴画像(MRI)撮像環境のセッティング: 実験に必要な機器(反応装置および導波管導入工事など)を整備し、最適な撮像パラメータを決定するために予備実験を行った。 2.対象者のリクルート および 介入プログラム実施と前後の多面的精神機能評価: 本年度は、参加者リクルートを行い、データ収集を開始した。介入前のベースラインアセスメントでは、精神症状の評価(質問紙・構造化面接)、認知機能検査、認知バイアス課題、コルチゾールの測定を行う。また高不安者にはMRI撮像(体積・扁桃体に焦点を当てた脳機能評価)を実施している。1ヶ月間の介入プログラム終了後、ポストアセスメントで、上記と同様の測定を行っている。 【本年度の成果】 現在までに介入プログラム実施前のベースラインデータを108名、うち高不安者の介入・MRIデータを34名収集中である。目標症例数はベースラインデータを150名、高不安者60名までを予定している。また、一定数集積したベースラインデータについて学会発表を行うとともに、国際誌への論文投稿を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、脳波と機能的MRI(fMRI)との同時測定を行う予定だった。しかし、その解析の最たる関心脳領域であった扁桃体が、1) 脳の深部に位置すること、2) 副鼻腔の空気(アーティファクト)により撮像画像が乱れることから、なかなか最適なパラメータ設定を見出すことができなかった。一方で、これ以外のデータ(脳体積を測定するMRIや内分泌物質のコルチゾール)はデータ集積が進んでおり、論文公表に向けて概ね順調に準備が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
脳波測定環境のセットアップを行う。脳波装置を購入し、予備実験を通して脳波のパラメータ設定の検討・確認を行う。その後、情動認知課題を施行中の脳波活動について測定する実験を開始する。半期までにベースラインデータを150名達成することを目標とする。広告や講演会などの機会を活用し、幅広い募集に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年9月に撮像パラメータ設定に時間を要する事が発覚した。扁桃体活動の検出に時間がかかってしまい、次の実験(脳波測定を含む)に進むために十分な症例数を集める事が出来なかった。 脳波装置の購入。コルチゾールの測定・解析(キットの購入)。実験の継続(参加者への謝礼金・研究補助者に対する謝礼金)。成果のまとめと業績発表に関わる諸経費(国内・国外学会発表・旅費・国際投稿の英文校正費)等
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