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2012 年度 実施状況報告書

「個人の歴史経験」と「学校歴史」に着目した児童の歴史理解に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24683033
研究種目

若手研究(A)

研究機関鹿児島大学

研究代表者

田口 紘子  鹿児島大学, 教育学部, 講師 (10551707)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード歴史認識 / 授業改善 / 国際情報交換 / アメリカ
研究概要

本研究は、児童の歴史理解の形成や変容の原因を、「学校歴史」(授業で修得がめざされる歴史)と1個人の歴史経験」(個人が保持している歴史)に注目して解明し、児童の歴史理解を促進する学校歴史教育のあり方を考察するものである。本年度は先行する歴史認識についての研究調査研究を収集・整理し、調査の枠組みと方法について確定した。
歴史認識についての先行調査研究については、1960年代に児童・生徒の歴史意識や総合的思考力などの調査が行われていたものの、調査質問や調査問題を開発するための視点や論理的枠組みを研究者が明確に意識しておらず科学的な研究とならなかったこと、さらには子どもの歴史理解のレディネスにとどまる調査結果では、教師の明日の授業準備には役立たないという理由から、研究は徐々に下火になっていったことを確認した。
近年では小学生の経済に関する実証的調査はいくつか行われているが、調査の論理的枠組みとして心理学や経済学の概念などが援用されている。しかしながら本研究で歴史学の概念枠組みを用いた調査は困難であることが予想される。その理由は、先にも説明したとおり、現行の小学校歴史教育は人物と文化遺産を通した歴史理解をめざしており、歴史学的な歴史のわかり方とは隔たりが大きいことが挙げられる。また教師の明日の授業準備に役立つ調査結果を求めることも、社会認識教育学的視点による調査研究として考慮しなければならないことが確認された。
上記のよう課題を乗り越える調査の枠組みや方法を設定するためには、歴史授業においてみられる子どもの歴史理解を枠組みの仮説にし、授業後のインタビューなどによってその仮説を確認することで、子どもの歴史理解についての理解を深めることが必要であると考えられる。
来年度には観察校・単元を設定し、協力校との打ち合わせの後に予備調査を実施したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は先行調査研究の整理から予備調査の理論的枠組みおよび研究方法の仮説をたてることができた。先行調査研究の整理では、過去の日本においても歴史認識についての調査研究は多くなく、調査質問や調査問題を開発するための視点や論理的枠組みを研究者が明確に意識しておらず科学的な研究とならなかったことが明らかになった。また過去の研究動向から、教科教育学である社会科教育学においては、教科や授業の直接的な改善となる規範的な研究が求められるため、授業の前提となる子どものレディネスを明らかにするだけの研究は認められてこなかったことが明らかとなった。しかし日本の過去の中学生や高校生を調査対象とした研究のように、歴史学の論理的枠組みをもって、小学校児童の歴史認識を測定することは困難であることが推測される。それは小学校では人物を中心とした歴史学習を進めており、因果関係を軸とした歴史学習を進める中学校とは学習方法が異なるためである。
したがって本調査研究においては、授業を担当する教師の指導案などを手がかりに規準となる調査枠組みを設定し、それと授業中にみられる児童の歴史理解との対比から子どもの歴史理解を仮説的に導き出し、授業後のインタビュー等で歴史理解の確認とそのような歴史理解が生じた原因を尋ねることで子どもの歴史理解とその形成要因(個人の歴史経験)が明らかになると考えた。

今後の研究の推進方策

日本の社会科教育学研究における子どもの歴史理解についての研究は活発ではない。本調査研究の方法の妥当性を考えるためには、広く国外の先行調査研究に当たる必要がある。アメリカやヨーロッパなどの子どもの歴史認識や歴史授業に関する調査研究の調査にも引き続き取り組みたい。
また、本調査研究で子どもの歴史理解とその形成要因(個人の歴史経験)を明らかにする手法として、授業を担当する教師の指導案などを手がかりに規準となる調査枠組みを設定し、それと授業中にみられる児童の歴史理解との対比から子どもの歴史理解を仮説的に導き出し、授業後のインタビュー等で歴史理解の確認とそのような歴史理解が生じた原因を尋ねることを仮説的に設定した。実際に予備調査を行い、この調査手法が機能するか、何が明らかになり、どのような課題があるのかを確認する必要もある。予備調査について研究協力校と打ち合わせを行い、実施したい。その際、複数単元において調査をするなど、時間的に間隔をとって継続的に調査することも考えたい。

次年度の研究費の使用計画

先行研究についてのさらなる調査のための書籍費・文献複写費、調査実施のための打ち合わせ旅費や印刷費、調査結果の入力のための謝金、研究発表や資料収集のための旅費を予定している。

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公開日: 2014-07-16  

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