本研究は、児童の歴史理解の形成や変容の原因を、「学校歴史」(授業で習得がめざされる歴史)と「個人の歴史経験」(個人が保持している歴史)に注目して解明し、児童の歴史理解を促進する学校歴史教育のあり方を考察するものである。体系的に歴史を学ぶ前の3・4年生や、通史的に歴史を学び終えた6年生への事例調査から、日本の子どもは歴史を客観的にとらえる一方、自分自身や現在と歴史とを切り離してとらえている可能性があることを明らかにした。そして現代を生きる子どもたちの歴史学習を有意味なものにする1つの方策としては、「個人の歴史経験」が「学校歴史」へと統合され、過去と現在のつながりを理解させることを示した。
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