研究概要 |
本研究は,発達障害児の問題解決過程の支援に関して,問題解決場面における指導者と対象児との相互作用時に生理心理学的手法を用いた脳機能計測を経年的に実施し,支援の客観的評価とその活用可能性を検討することを目的としている。個々の発達障害のある子どもの問題解決過程の促進を意図した指導支援において子どもならびに指導者の双方からNIRS記録を行い,子どもと指導者それぞれの問題解決場面における脳内処理が指導的かかわりを通してどのように変容するかを経年的に検討することを通して,支援の客観的評価とその活用可能性を検証しようとするものである。 当該年度はこの研究目的の達成にあたり,理論的・実証的な背景の整理と経年的実施に向けた予備的な実施と経年的実施の一部を実施した。 具体的には,定型発達成人を対象とした協同問題解決を要する条件とその客観的評価方法の設定にあたり,問題解決を要する課題実施中の出題側と回答側の双方から,研究助成により導入された光イメージング脳機能測定(NIRS)装置による記録を試行的に行うとともに,発達障害児を協力者とした検討についても同意が得られた対象者を対象に開始した。 あわせて,上記研究の理論的な背景に関しては第30回日本生理心理学会大会の一般公開シンポジウムにおいて発表した。また,発達障害児の認知特性評価に関する研究ならびに指導的な関わりにおける問題解決に関わる支援の実践については,その一部を原著論文として学会誌に掲載し,複数の学会発表において報告した。
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