今後の研究の推進方策 |
低次元トポロジーの(特に結び目理論を中心として)数論的側面の研究を行う予定である。結び目(絡み目)の普遍量子不変量といわれるKontsevich不変量には、Grothendieck-Teichmuller群の定義式である五角形関係式と二つの六角形関係式を用いた代数的な再構成がBar-Natan, Cartier, Kassel-Turaev, Le-Murakami, Bar-Natan, Piunikhinらによって与えられている。彼らの議論を発展させることにより、結び目全体の空間へのモチヴィックガロア群の直接的な作用を構成し、これにより結び目の様々な数論的性質を抽出していく。これは数論的位相幾何学の新しい試みといえる。この研究には国内・国外の幾何学系研究者達との研究討議が必須であるため、国内外の研究集会およびセミナーに出向き研究交流を盛んに計る。 また、Alekseev-TorossianがKashiwara-Vergne予想の解決で導入したKashiwara-Vergne群はGrothendieck-Teichmuller群と同形であろうと予想されている。そしてさらにこの群はモチヴィックガロア群とも同型であることが予想されている。これらの予想は「数論と数理物理学の融合」というプロジェクトに関連している大事な予想である。これら三者の関係の解明にも取り組む。この研究を推進するために、主に国内の表現論関連の研究集会・セミナーに出向き、研究者達との研究討議を数回行う予定である。
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