| 研究課題/領域番号 |
24684002
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| 研究機関 | 京都大学 |
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研究代表者 |
藤野 修 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60324711)
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| 研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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| キーワード | 極小モデル理論 / 飯高不等式 / 数値的小平次元 / 半正値性定理 / アバンダンス予想 / 対数的小平次元 / アフィン多様体 / 混合ホッジ構造 |
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| 研究実績の概要 |
平成26年度は2つの良い結果を得たと思っている。一つは、数値的小平次元に関する飯高不等式の類似の確立である。この結果、対数的小平次元に関する飯高予想は、一般化されたアバンダンス予想に帰着出来ることが分かった。対数的小平次元に関する飯高予想は、今まで成立する根拠は全くなかったと思う。今回の私の仕事で、極小モデル理論が完全に完成すれば、自動的に対数的小平次元の飯高不等式が成立することが分かった。また、極小モデル理論の結果も援用することにより、アフィン多様体に関しては、対数的小平次元に対する飯高予想を完全に解決した。これが一つ目の良い結果である。もう一つの結果は、相対的多重標準束の順像の半正値性に関するものである。相対的標準束の順像はホッジ理論的な解釈で今までたくさんの結果が証明されてきたが、多重標準束に関しては決定的な結果はなかった。今回、生成ファイバーがgood極小モデルをもつという仮定のもと、相対的多重標準束の順像の半正値性に関して決定的な結果を得た。証明は極小モデル理論を援用するものであり、幾何学的なものである。もちろん、生成ファイバーがgood極小モデルをもつと仮定することなく、同様の結果を証明することが強く期待される。今回の半正値性定理は今まで予想すらされていなかった形の結果である。今後の高次元代数多様体の研究に役立つと期待している。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は順調である。26年度に得た二つの良い研究成果は、どちらも25年度には全く予定していなかったものである。フランス出張の際にホテルと研究集会の会場で延々と考えていて上手いアイデアが浮かんだのが数値的小平次元に関する飯高不等式の話である。海外出張がいい気分転換になったものと思われる。この結果は論文Osamu Fujino, On subadditivity of the logarithmic Kodaira dimensionとしてまとめ、雑誌に投稿中である。もう一つのいい結果も、出張中に得たものである。夏場に東京大学で行われた研究集会に参加中、ふと思いついたアイデアが切っ掛けである。相対的多重標準束の順像の半正値性についての結果である。この結果はOn direct images of pluricanonical divisorsとしてまとめ、雑誌に投稿中である。このように、十分な研究成果は得られているが、計画通りの内容ではないかもしれない。今後も興味の赴くまま、積極的に研究を推進していきたい。予想外の結果を得ることの方が、予定通りの研究成果よりも面白いと思う。計画通りに進めている一連の仕事は、残念ながら投稿した論文のレフェリーに非常に時間が掛かり、足踏み状態である。オリジナリティーが高い研究になると、なかなか投稿論文のレフェリー作業が進まないという悲しい事態になってしまうようである。今しばらく理解者が増えるのを待つしかないのかもしれない。このような状況なので、私の論文の一部は出版が遅れ気味である。ただ、これは私自身にはどうしようも出来ない問題である。
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| 今後の研究の推進方策 |
極小モデル理論のコホモロジー論的な取り扱いは私のここ数年の一連の仕事で刷新したと自負している。コンパクト台コホモロジーに入る混合ホッジ構造を積極的に用いることにより、従来より強力な消滅定理や半正値性定理を証明する点がミソである。この新しい枠組みはほぼ満足の行く形に仕上がっている。問題は、論文のレフェリーに長い時間がかかり、なかなか論文が出版されない点である。ただ、数学的内容は特に問題点は指摘されておらず、すでに私の枠組みを使って様々な応用が国内外の研究者によってなされている。今後の研究の推進方法としては、この新しい枠組みの普及と応用の研究もしつつ、今までとは少し違う手法も取り入れていきたい。天の邪鬼な性格なので、流行を追いかけることはせず、独自路線を貫きたい。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
国内出張旅費などが予定より若干安くすんだので、少し予算が余っただけである。特に研究方法に変更が生じたわけではない。
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| 次年度使用額の使用計画 |
特別な計画はない。4月に出張で韓国に行くが、その出張旅費などで繰り越し分はすべて使用してしまう予定である。
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