研究課題/領域番号 |
24684005
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 篤史 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50314290)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 幾何学 / 代数学 / 数理物理学 / ミラー対称性 |
研究概要 |
離散群・特異点・ルート系・リー環・有限次元代数の間にある不思議な関係を解明するため,本年度は以下の1および2の内容について研究を行った. 1 古典的ミラー対称性:オービフォールド射影直線に対するグロモフ‐ウィッテン不変量から得られる平坦構造とカスプ特異点に対する原始形式から得られる平坦構造の間に同型写像を与える. 2 カスプ特異点に付随するワイル群不変式論の構築および平坦構造の構成:カスプ型ワイル群の指数的不変式に対するシュバレー型定理を証明し,最高次のワイル群不変式の良い選択により交叉形式が1次式となることを示す. 1については,前年度に発表した,ある幾何学的に自然な条件をみたすフロベニウス構造の一意性を拡張した.また,オービフォールド射影直線に対してDubrovin予想が成立すること示した.さらに,有理数上定義されるフロベニウス構造の研究も開始し,とくに単純楕円型特異点から得られるフロベニウス構造に関連するものの分類を行った. 2については,カッツ‐ムーディー代数の最高重み表現の指標を用いて,拡大カスプワイル群に対する不変式論を系統的に記述した.「性質P」と呼ぶ内容を仮定することにより,フロベニウス構造が自然な構成されることを示した.また,このフロベニウス構造はオービフォールド射影直線に対するグロモフ‐ウィッテン不変量から得られるものと同型となることを示した.一方で,カスプワイル群およびカスプアルティン群の構造研究を行った.とくに,それらの群の生成元と関係式を求めた.これを用いて,オービフォールド射影直線に自然に関係する1-カラビヤウ三角圏の自己同値群のある部分群に,カスプアルティン群からの全射が存在することを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
着想が非常によい割合で直接的に研究の進展・成果に結び付いた.
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今後の研究の推進方策 |
順調に進展しているので,現在の研究計画・方針を継続して行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果のとりまとめに集中したいと考え,いくつかの外国出張を延期したため. 延期した外国出張のほか,開催を見送っていた勉強会等のためにこれを用いる.
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