研究課題
本研究では、国立天文台の超長基線電波干渉計VERA(ベラ)とアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計ALMA(アルマ)を用いて、太陽系から最も近い大質量星形成領域オリオンKLにおけるセンチ波からサブミリ波の水メーザー同時観測を初めて実行した。2011年から、オリオンKL領域の22GHz帯水メーザーは通常の1000倍以上に強度が増光するバーストが起こっており、絶好の観測の機会を得ている。2年目である本年度は、前年度に取られた観測データ解析を中心に進めている。ALMAのデータでは、オリオンKL領域の大質量原始星候補天体Source Iから321GHz、336GHzサブミリ波帯の水分子輝線が初めて検出され、Source I近傍の高温高密度ガスを高解像度で分解することに成功した。詳しい解析の結果、Source Iには回転するガス円盤が付随していることが明らかになり、Source Iが中小質量星同様に質量降着によって形成されていることを示す決定的な証拠を得るという成果を挙げている。また、VERAによる22GHz 帯水メーザー観測は本年度も継続し、バーストした水メーザー源がオリオンKLのコンパクトリッジと呼ばれる衝撃波領域で励起されていることが解明された。また、22GHz帯水メーザーの強度は2012年に極大期を迎えたこと、2013年に一時静穏期になったもののその後再び増光し始めたことも明らかになった。一方、ほぼ同時にALMAで観測されたサブミリ波帯水メーザーは、Source Iでは検出されているもののコンパクトリッジ領域では検出されていない。VERAとALMAの結果を総合的に解釈すると、22GHz帯の水メーザーバーストは衝撃波領域の物理的性質の変化ではなく、メーザー放射のビーミングによる効果で増光が起こっていることが示唆され、メーザー励起機構を理解する上で重要な情報となっている。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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