近年、原子核の諸性質を理解には、三つの核子が集まる事によって生じる三体力の重要性であることが指摘されている。本研究は、核物質の理解などに必要な三体力の高運動量成分を定量的に評価することを目的として、入射エネルギーが核子あたり200―400 MeVの重陽子・陽子散乱の超後方角度の測定を行うものである。理研RIBFにおいて重陽子―陽子弾性散乱の全ての偏極分解能測定を実施した。三体力と相対論効果のどちらをも考慮した理論解析との比較を行った。結果、相対論効果は小さいが、実験値と理論に大きな差があることがわかった。この差は、計算に取り込まれていない三体力の高運動量成分に起因しているという結論に至った。
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