研究課題/領域番号 |
24684014
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
宗宮 健太郎 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (10582603)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 重力波 / 干渉計 / 光バネ / 非線形結晶 / 信号増幅 |
研究実績の概要 |
平成27年度始めに掲げた目標は、(i)二倍波生成効率の向上、(ii)シグナルリサイクリング共振器の安定化、(iii)光バネのシフトの観測、(iv)研究成果の論文化、の4つであった。年度始めの計画書に記載したように、大学内の事情で平成27年2月に実験室の引っ越しを行なわねばならなくなり、半年以上の遅延が発生した。この結果、最終目標である光バネのシフトの観測には至らなかったが、年度後半にいくつか進展は見られた。(i)二倍波生成効率の向上については、大学院生がSHG共振器のモードマッチングの調整を行い、生成効率が大幅に向上し、非線形結晶の変換効率から計算される値に到達した。(ii)シグナルリサイクリング共振器の安定化については、安定化に必要なRF光検波器の製作に着手し、順調に進んでいる。(iii)光バネのシフトの観測については、既述のようにその段階には至っていないが、(iv)研究成果の論文化という点に関しては、理論部分をまとめて論文を執筆し、国内外から高い評価を得た。その中の議論の一つとして、本研究で扱うシステムが光学的に不安定なのではないかという指摘があり、年度の後半は研究室の学生と共にその問題の理論的検証を行なった。この点については現在も進行中である。
平成27年2月に開始した実験室の引っ越しは、7月くらいまで続いたが、以前の実験室と比べて実験環境は顕著に改善された。建物の中にクラス100のクリーンブースを建設し、クリーン環境下で干渉計実験を遂行できるようになった。共振器のフィネスも向上しており、二倍波生成効率の向上につながっている。平成28年1月には本研究の最終年度延長手続きをとり、平成28年度には光バネのシフトの観測まで実現する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既述のように、平成27年2月に大学内の事情で実験室の引っ越しを行なわなければならなくなり、少なくとも半年の遅延が生じた。平成27年度後半には実験を再開したものの、最終目標である光バネのシフトの観測までは至らず、平成28年1月に最終年度延長の手続きをとった次第である。
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今後の研究の推進方策 |
新しく構築した実験室は以前より実験環境が改善されている。クラス100のクリーンブースを建設し、クリーン環境下で干渉計実験を行うことができている。また、平成27年度のうちに、干渉計制御に必要なRF光検波器の改良を行なっており、課題であったシグナルリサイクリング共振器の安定化につながると考えられる。平成28年度中に光バネのシフトの観測を実現できる見通しは立っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度前半は大学内の事情により実験室の引っ越しを行なうことになり、実験計画に遅延が生じたため。遅延の影響は主にシグナルリサイクリング共振器の制御実験に出ており、そのための電気部品や光学部品の購入を見送ったために次年度使用額が生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に行うことができなかったシグナルリサイクリング共振器の制御実験に必要な電気部品と光学部品の購入にあてる。これらは全て消耗品である。
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