研究課題/領域番号 |
24684015
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山岡 和貴 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00365016)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | X線ガンマ線天文学 / ガンマ線バースト / 国際宇宙ステーション / 全天X線監視装置(MAXI) / 高エネルギー電子、ガンマ線観測装置(CALET) |
研究概要 |
本研究は国際宇宙ステーション搭載の全天X線監視装置(MAXI)と高エネルギー電子ガンマ線観測実験(CALET)を用いて、ガンマ線バースト(GRB)の放射機構、X線領域で卓越した放射をもつX線フラッシュ(XRF)の起源に迫るものである。 MAXIは2009年の打ち上げ以来5年近く経過した今も順調に運用が進められ、平成25年度は6個のGRB検出に成功している(これまでに41個)。Swift衛星との国際連携プロジェクトのもと、2個についてSwiftによる追観測が行われたが、残念ながらX線や紫外可視光の対応天体は検出されなかった。一方これまで検出された35個のGRBについてのカタログ論文をまとめ、天文学会欧文報告(PASJ)に投稿、現在査読中である。 CALETについては、ややスケジュールが遅れているものの、青山学院大学と名古屋大学が共同で進めているガンマ線バーストモニタ(CGBM)のフライトモデルがLaBr3とBGOシンチレータを用いたセンサ部、信号処理電子回路部が製造メーカーとの協力でほぼ完成した。2014年1月にはJAXA筑波宇宙センターにて2週間に渡る、CGBMフライトモデル単独での地上較正試験を実施し、LaBr3を用いた硬X線モニタ(HXM)は、本研究の鍵となる、10 keV以下のX線領域に感度をもつことが確認された。現在データの詳細解析中であり、今後その結果を較正データベースとしてまとめ、シミュレーションに反映し、検出器の応答関数を構築する予定である。また、現在データ解析のソフトウエア開発、速報のための地上系システムの構築を行っている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MAXIは現在も順調に運用が継続され、MAXIによるXRFを含むGRBカタログの投稿論文がまとめられ、Swiftとのフォローアップ観測体制も整い、順調に進んでいる。 一方、CALETは、ガンマ線バーストモニタ(CGBM)の地上較正試験を当初2013年6月に予定していたが、CALET製造スケジュールの遅れのため、2014年1月に実施された。その結果、この地上較正試験結果に基づいて行われる応答関数の構築作業、較正データベース構築、CALET全体の検証試験(熱真空試験、振動・衝撃、音響試験)実施が遅れているところである。並行して実施予定であった、フライトモデルと同等の検出器ユニットを製作して詳細な地上較正試験を行う計画も、2014年1月の地上較正試験の方に注力したため、遅れている状況である。これらは次年度以降、早急に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
すでにCGBM自体はほぼ完成しているものの、CALET計画は当初の2014年夏期打ち上げはなくなり、2014年度中の打ち上げを目指しているところであり、ややスケジュールが遅れている。ロケットの打ち上げ時期もあり、遅れはいかんともしがたいが、全研究期間に占めるCALET観測、データ解析の割合が少なくなっているため、MAXIに加えてすざくやSwift他の衛星などのデータ解析を重視するとともに、粛々と打ち上げ後すぐにCALETデータの解析をできる体制を整える必要がある。そのため、共同研究機関である、早稲田大学や青山学院大学とのTV会議、ミーティング、国内出張を重ね、情報交換を密にし、地上処理システムの構築やソフトウエア開発を行い、今年度中のCALET打ち上げ前にソフトウエア開発、検出器応答関数、GRBの速報体制の打上げ前バージョンの完成を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
CALET計画のスケジュールがやや遅れており、CALETガンマ線バーストモニタの地上較正試験も2014年1月と当初の予定より半年ほど遅れて実施された。前年度はその地上較正試験の検討、準備に注力したため、それに合わせて、1月に限られた時間の中でできなかった、さらに詳細な地上較正試験を行うためのフライトモデル同等品の製作やLaBr3結晶シンチレータ購入のための予算、その他必要経費を今年度確保している。 平成26年度上半期までにフライトモデル同等品の製作、結晶シンチレータの購入手配を進め、下半期以降にその性能評価および実験を青山学院大学で行う予定である。
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