今後の研究の推進方策 |
CeB6,SmB6, SrB6においてエピタキシャル膜の成膜には成功しておらず,c軸方向は配向しているが,面内の配向性が弱い.そこで,MgO基板の表面処理を見直し,エピタキシャル膜の成膜を目指す.具体的には(1)MgO基板の表面にMgOを蒸着し,ホモエピタキシャル成長させることにより表面の一層の平坦化を行う,(2)MBE装置を改造し,基板加熱の最高温度を従来の800℃から1000℃程度まで引き上げる.より高温でアニールすることにより基板表面原子の再配列を促し,基板表面の平坦化を行う.またCeB6,SmB6, SrB6の成膜もより高温で行うことによりエピタキシャル成長と膜質の向上が期待できる. c軸配向膜ではあるが,CeB6,SmB6, SrB63つ共に膜表面の平坦性は高い.そこで,c軸配向膜においてもCeB6/SrB6, SmB6/SrB6の人工超格子の作製に取り組む.CeB6はc軸配向膜においても四重極秩序が確認されているので,人工超格子による2次元閉じ込めで四重極秩序が抑制される可能性は高いと考えられる.またSmB6はトポロジカル絶縁体である可能性が議論されているが,バンド絶縁体であるSrB6との人工超格子で2次元性を制御することにより,トポロジカル絶縁体か否かについての新しい知見を得ることが期待される.
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