研究課題
格子定数が比較的近いMgO (100)基板を用い,かつ蒸着時の基板温度を1000℃にすることで面間と一部面内配向性を持ったSmB6薄膜並びにSrB6薄膜を得られた.また,最適な蒸着レートの比率は化学量論比通りSm(Sr):B=1:6であることを明らかにした.得られたSmB6薄膜について低温までの電気抵抗率測定を行った.電気抵抗率は降温と共に増大し,5 K以下の低温で一定値を示す.これはバルク単結晶で報告されているものと同様の振る舞いであるが,室温と低温での抵抗率の比はバル告単結晶では数百を超すものが報告されているのに対して薄膜では数倍程度に留まった.SrB6の電気抵抗率測定からこの物質は絶縁体的な伝導を示すことを明らかにした.SmB6とSmB6の人工超格子を作製できれば,SmB6層(トポロジカル絶縁体層)を通常の絶縁体の間に閉じ込め,トポロジカル絶縁体層の厚みを制御することが可能となる.実際にSmB6層とSrB6層の積層構造を5回持つ人工超格子の作製を行った.得られた膜について断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観測することによりSrB6層とSmB6層が交互に積層していることが明瞭に識別できた.SEM画像からSmB6層の厚みはユニットセル24個分程度であることが明らかになった.この人工超格子の抵抗測定を行ったところ,4 K以下で抵抗率が一定値を示す振舞いが観察された.更にSmB6層の厚みを薄くした人工超格子の作製と低温までの測定が必要と考えられる.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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