研究課題
高温のガスが冷える過程で形成する宇宙個体微粒子(宇宙ダスト)は、惑星の材料であり、宇宙で分子や有機物が生成する下地となり、エネルギー収支を担っていることから、その生成過程を理解することは非常に重要である。惑星系の形成過程に伴う物質進化過程の解明という地球惑星科学の第一級の課題に対して、宇宙ダストの核生成や結晶化過程を実験的に解明することを目的に、二波長干渉計と赤外分光光度計を用いたナノ粒子の核生成過程の“その場”観察実験と透過電子顕微鏡を組み合わせて、付着確率や表面自由エネルギーなどの物理パラメーターの決定などを行った。平成26年度は、特に核生成時から成長する過程の赤外スペクトルその場計測の実験に大きな進展が見られた。宇宙に豊富に存在しており、地球型惑星の主原料の一つでもあるマグネシウムケイ酸塩が晩期型巨星周でナノ粒子を形成するのと同程度の条件(冷却の時間スケールと衝突頻度)で、再現することに成功した。その結果、マグネシウムケイ酸塩は、核生成時には液滴であり、その後の冷却過程で、結晶化することが分かった。非晶質粒子からの結晶化ではおよそ1000 Kのアニールが必要であるが、今回は500 K程度の超高過冷却液滴から結晶化が進行した。さらに、核生成時のスペクトルは、従来天文学分野でケイ酸塩の代表的なスペクトルとして取り扱われているAstronomical Silicateに酷似している。これは、様々な天体で見られる10ミクロンフィーチャーを初めて再現した成果となった。気相からの核生成においては、従来気相から固相への相転移と考えられていたが、液滴を経由するプロセスがあることが実験的に示された。今後の研究の進展により、核生成過程のさらなる理解が見込める。にできるデータが得られた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Astrophysical Journal
巻: 803 ページ: 88 (6pp)
10.1088/0004-637X/803/2/88
Transactions of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences, Aerospace Technology Japan
巻: 12 ページ: Th_31-Th34