研究課題/領域番号 |
24684034
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
潮見 幸江 京都大学, 生存圏研究所, 研究員 (60584266)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Gravity gradient / Volcano / laser interferometer |
研究実績の概要 |
重力と加速度は原理的に等価で識別ができないため、高精度の重力測定は振動との戦いとなる。本研究では、重力の絶対測定ではなく差動測定を行うことで振動の影響を大幅に削減し、地面振動の激しい火山地域でも高分解能で地下の密度変化を検出できる耐震性の高い重力勾配計測技術の確立を目指している。将来的には飛行船や船などの運搬体上で測定を行うことも想定した開発を行っている。 本年度は、火山活動の活発な桜島火山にて重力勾配値の初の連続観測を実施し、観測データの解析を行った。その結果、地下水面の潮汐変動と考えらえる現象が観測され、1時間の測定での分解能は±0.3 μGal/mであった。この分解能は桜島火山観測所に於いて過去に実施された絶対重力測定(FG5使用)の分解能を約1桁向上したものである。このことは、絶対測定と比較して差動測定型の重力勾配値の耐震性が高いことを示唆していると考えられる。また本研究で開発した耐震性を向上するための技術及び設計上の工夫が十分に機能していることを示唆する結果と考えられる。本研究では高耐震性の重力勾配測定を実現するための基礎技術の確立を第一の目標としていたが、本年度の桜島に於ける実地観測によって開発した技術が十分に機能していることを検証することができた。本年度の後半では、これらの観測結果を踏まえ、より軽量で利便性が高く低ノイズの重力勾配計の設計を推進した。火山学における重力勾配連続観測の有用性については、今後さらにデータ解析を進め検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度ではこれまでの結果を踏まえて新装置を設計し製作する予定であったが、ノイズ源となっていた真空排気系の設計の再検討を行った結果、製作が遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新装置用の真空排気系を実験的に検証し試験を行った後、試運転を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に予定していた新装置製作において、ノイズ源となっていた真空排気系に関する情報収集を行い設計を再検討した結果、装置構成部品の発注に遅れが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
真空排気系に関して最適な設計を明らかにするため、次年度使用額を利用して試作品を製作して実験検証を行う。
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