研究課題/領域番号 |
24684037
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
谷 健一郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 技術研究副主任 (70359206)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 島弧マグマ活動 / ジルコン年代測定 / 大陸地殻形成 / フィリピン / 中生代 |
研究概要 |
伊豆小笠原マリアナ(IBM)弧の基盤であるフィリピン海プレートの起源解明は、海洋性島弧であるIBM弧におけるプレート沈み込み開始過程を理解し、またその後の島弧地殻発達プロセスを明らかにする上で非常に重要である。近年の調査航海によってフィリピン海プレートには中生代の島弧地殻が存在していることが判明しつつある。IBM弧の形成開始時には、フィリピン海プレートは現在の東南アジア東縁部に近い赤道付近にあったと考えられており、このような中生代島弧地殻は東南アジア東縁部の大陸性基盤岩類と対比できる可能性がある。 しかし東南アジア東縁部に露出する基盤岩類の岩石学・地球化学・年代学的研究はほとんど進んでおらず、フィリピン海プレートとの対比を行うことが困難であった。この為、フィリピン共和国のセブ島とパラワン島において地質調査・岩石サンプリングを平成24年10~11月に2週間実施した。採取された岩石試料の高感度高分解能イオンマイクロプローブを用いたジルコン年代測定と岩石学・地球化学的分析から、セブ島には白亜紀のオフィオライト・島弧地殻が露出していることが明らかとなった。またパラワン島についても形成年代が異なる白亜紀と中新世の花崗岩類が分布していることが判明した。これはパラワン島の起源や中生代にテチス海北東縁部を構成していたSouth China cratonの地殻構造を理解する上で重要な発見である。更には現地調査が困難なフィリピン東部のオフィオライト群についてフィリピン大学地質科学研究所が保有する岩石試料を入手し、年代測定を実施した。 現在はこれらのフィリピン共和国に分布する中生代基盤岩類の地球化学・岩石学的検討を行い、フィリピン海プレート構成岩石との対比を進めている。 以上のように今年度はフィリピン海プレートの起源を解明する上で必要不可欠な東南アジア東縁部の基盤岩類の採取とデータ取得に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査を予定していた地域(フィリピン共和国)の調査・試料採取に成功し、その試料の分析から研究目的を達成できる可能性が高いデータが得られつつある。また現地調査が困難と判明した地域についても現地共同研究機関が過去に採取した岩石試料の入手ができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度もこれまでの調査結果をふまえてフィリピン共和国での現地調査を実施する。また平成25年9月に大東海嶺群への調査航海が採択され、無人探査機を使った地質調査・岩石採取を行う予定である。得られた試料の詳細な岩石学・地球化学・年代学的研究から比較研究を行い、論文投稿の準備を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に導入予定だったクロスセクションポリッシャーが価格高騰のため導入できなかったので、より安価な超音波加工機を購入した。これによって直接経費次年度使用額が発生した。今年度は主に現地地質調査の旅費・謝金等と岩石試料の分析準備を行う実験補助担当者の雇用に使用する予定である。
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