研究課題
昨年度前半は、一昨年度と同様に世界的なヘリウム不足問題の余波が続き、超高純度高圧ヘリウムガスの調達に時間がかかった。そのため、GCを用いた直接的な分析研究の進捗は再び緩やかになってしまったが、後半には堆積岩から有機溶媒抽出した成分をテスト分析し、良好な成分分離を確認した。その代わりに、研究代表者が過去に行った隕石中の酸不溶性有機物(IOM)の酸化銅分解生成物分析の結果を再解析し、IOMに含まれる光学異性体の探索を行った。その結果、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、ジメチルコハク酸、メチルグルタル酸、アジピン酸、メチルアジピン酸、乳酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシペンタン酸、メチルヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシカプロン酸、リンゴ酸、といった多種の光学異性体が分解生成物として含まれることが明らかとなった。したがって、IOMの熱化学分解でもこれらの化合物あるいは類似の化合物が生成する可能性が期待できる。今年度はこれらの光学異性体に注目して、IOMの熱化学分解あるいは化学分解生成物の光学分割を試み、その光学異性体過剰率を決定する。
3: やや遅れている
前年度は前々年度につづき世界的なヘリウム不足問題の余波が続き、超高純度高圧ヘリウムガスの調達に時間がかかったため。
貴重な超高純度ヘリウムガスを効率良く使用し節約するための方策として、事前に複数種の隕石試料調製(酸処理)および光学異性体標準試料の分離条件最適化を行っておき、その上で短期集中的にGCMS測定を行う。具体的には、炭素質隕石から分離精製した酸不溶性固体有機物の反応熱分解を熱分解GCMSを用いて行う。分解生成物の同定を行うと共に光学異性体を探索し、その光学異性体過剰率(Lee)を決定する。また、パイロライザーを使わずに酸不溶性固体有機物の化学分解を行い、分解生成物を誘導体化後、GCMSで分析する。
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