本研究では初期太陽系における不斉の発生・増幅機構の普遍性と多様性を解明するため、隕石有機物の主要成分である固体高分子有機物に含まれる光学異性体を探索し、その分子構造の同定と光学異性体過剰率の決定を行う新手法の開発を試みた。マーチソン隕石粉末から分離した酸不溶性有機物のアルカリ酸化銅分解を行い、分解生成物をガスクロマトグラフィー質量分析装置で分析した結果、7種のジカルボン酸、7種のヒドロキシ酸の光学異性体が含まれることが明らかになった。まだ各分子の光学異性体比を決定できていないが、以上の結果から不斉の起源は隕石中のアミノ酸のみならず、固体有機物にも求めることができる可能性が本研究より示唆された。
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