固体表面上に膜厚が単分子層程度の有機薄膜を作成し、非占有準位に着目しつつ、ナノスケールからマクロスケールに至る空間領域で電子状態計測を行った。具体的には2光子光電子(2PPE)分光と、走査トンネル顕微鏡(STM)を使用した局所分光を組み合わせた。STMでは吸着構造と電子状態に関する情報が同時に得られるため、両者の相関が1対1で解明できる。さらに、特に非占有鏡像準位を手掛かりに角度分解2PPE能を行うことで、単分子由来の分子軌道的な描像や、分子集合体が形成されてバンド構造が出現するに至る過程を理解できるようになった。非占有準位の持つ局在・非局在性が分子・原子レベルで理解できるようになってきた。
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