一般的な化学反応には、光によるエネルギー供与により電子が励起され電子励起状態で進行する光反応と、加熱によるエネルギー供与により分子振動が励起され電子基底状態で進行する熱反応とがある。本研究では、可視15-fsパルスレーザー光を用いることで、光反応とも熱反応とも異なる新反応開発を試みた。ベンゾキシ基・チオフェニル基・カルバモイル基の3つの異なる置換基を有する置換チオグリコピラノシドの弱酸性メタノール溶液に、可視15-fsパルスレーザ光を光強度400 GW/cm2 程度で照射するとカルバモイル基の脱保護反応が進行し、光強度300 GW/cm2 程度で照射すると新規環状トリアセタール体が生成した。
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