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2014 年度 実績報告書

チオフェンからの触媒的芳香環変換反応

研究課題

研究課題/領域番号 24685007
研究機関京都大学

研究代表者

依光 英樹  京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00372566)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード芳香環リフォーム / ジベンゾチオフェン / トリフェニレン / パラジウム
研究実績の概要

まず、前年度検討したジベンゾチオフェンをトリフェニレンに変換する芳香環リフォームについて、論文化に向け、詰めの作業を行った。反応機構の解明のために、重水素化されたターフェニルを合成し、これをつかってトリフェニレンを合成したところ、同位体効果は認められなかった。すなわち、トリフェニレンの環化過程は芳香族求電子置換反応であることが明らかとなった。また、プンメラー反応により別途調製したスルホニウム塩を用いてトリフェニレン合成を行うと、多置換トリフェニレンの自在合成が可能であることも明らかにした。本研究は化学系のトップジャーナルAngewandte Chemie International Editionに掲載が決定した。多大なインパクトを与える研究となると予想される。
次にジベンゾチオフェンをカルバゾールに芳香環リフォームする手法について検討を行った。その結果、ジベンゾチオフェンをまず対応するスルホンに酸化した後に、アミンをカリウムヘキサメチルジシラジド共存下作用させると、対応するカルバゾールを合成できることを明らかにした。反応条件は少し過酷であるものの、カルバゾール合成法として極めて斬新な手法であり、今後の展開が期待できる。反応機構は二段階の芳香族求電子置換反応からなると考えている。一段階目の中間体についてもX線結晶構造解析を済ませた。現在、この研究について論文を鋭意執筆中であり、もう少し詳細を実験により詰めた後に公表したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

予想外のトリフェニレン合成を発見、公表し、当初の計画以上の進展が見られる。

今後の研究の推進方策

カルバゾール合成法を確立するとともに、シロールなどを始めとするエキゾチックなπ電子系の合成も行っていく。

次年度使用額が生じた理由

当初チオフェンからピロールを合成する反応を開発すべく研究を開始したが、予想に反しフェナントレンが生成することを発見し、フェナントレン合成を優先して研究を行った。その結果、当初の予定の配位子や遷移金属触媒の購入が不要となり、25年度から26年度に繰り越した。
26年度はピロール合成用の配位子と触媒を購入するために使用する予定であった。しかしながら、予想に反し、配位子や触媒を使わずにピロールやカルバゾールを合成する新手法を開発した。そこで、配位子や触媒を購入する分を繰り越すこととした。

次年度使用額の使用計画

シロールなどをはじめとするヘテロ芳香環の合成には配位子と触媒が必須と考えられるので、これらを購入するために使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Palladium-Assisted Aromatic Metamorphosis of Dibenzothiophenes to Triphenylenes2015

    • 著者名/発表者名
      Dhananjayan Vasu, Hideki Yorimitsu, and Atsuhiro Osuka
    • 雑誌名

      Angew. Chem. Int. Ed.

      巻: 54 ページ: in press

    • DOI

      10.1002/anie.201501992

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Organosulfur Chemistry Revisited: From Pummerer Annulation to C–S Bond Cleavage2014

    • 著者名/発表者名
      Hideki Yorimitsu
    • 学会等名
      9th International Symposium on Integrated Synthesis
    • 発表場所
      Awaji Island
    • 年月日
      2014-11-14 – 2014-11-15
    • 招待講演
  • [学会発表] Palladium-Assisted Aromatic Metamorphosis of Dibenzothiophenes to Triphenylenes2014

    • 著者名/発表者名
      Dhananjayan Vasu, Hideki Yorimitsu, and Atsuhiro Osuka
    • 学会等名
      9th International Symposium on Integrated Synthesis
    • 発表場所
      Awaji Island
    • 年月日
      2014-11-14 – 2014-11-15
  • [学会発表] パラジウム触媒を用いるジベンゾチオフェンスルホニウム塩の開環アリール化と続くC-Hアリール化によるトリフェニレンの合成2014

    • 著者名/発表者名
      バス ダナンジャヤン・依光英樹・大須賀篤弘
    • 学会等名
      第61回有機金属化学討論会
    • 発表場所
      第61回有機金属化学討論会
    • 年月日
      2014-09-23 – 2014-09-25
  • [学会発表] Catalytic C–S Bond Cleavage for Construction of π-Conjugated Molecules2014

    • 著者名/発表者名
      Dhananjayan Vasu, Tomohiro Sugahara, Shinya Otsuka, Daishi Fujino, Kei Murakami, Hideki Yorimitsu, Atsuhiro Osuka
    • 学会等名
      41st International Conference on Coordination Chemistry
    • 発表場所
      41st International Conference on Coordination Chemistry
    • 年月日
      2014-07-21 – 2014-07-25
    • 招待講演
  • [備考] 研究者HP

    • URL

      http://kuchem.kyoto-u.ac.jp/shuyu/j/yorimitsu.html

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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