研究課題/領域番号 |
24685013
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
床波 志保 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 講師 (60535491)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 分子鋳型 / バクテリア / 迅速検出 / センサ |
研究概要 |
本研究は、検出対象のバクテリア形状を精巧に転写したポリマー膜を用いてバクテリアを直接、迅速かつ選択的に検出する方法の確立を行うことを目的としている。この様な目的のもと、本年度はグラム陰性菌を中心としたバクテリアのポリマー膜への取り込みと吐き出しによる鋳型形成に取り組んだ。Pseudomonas aeruginosa (P. aeruginosa)を含むピロール溶液中で定電位電解することにより析出したポリピロール膜中には約1.8×10^9cm^<-2>のP. aeruginosaが取り込まれていることが電子顕微鏡観察により明らかになった。この膜に溶菌・過酸化処理を施すと膜内に取り込まれていたバクテリアの約90%が取り除かれ、膜中にバクテリア鋳型を形成することに成功した。また、Pseudomonas属だけではなくEscherichia属やAcinetobacter属においても同様の傾向が見られ、バクテリアの表面電荷が負電荷過剰の状態であればバクテリアの鋳型形成が可能であることが示唆された。 バクテリア鋳型膜と誘電泳動法、水晶振動子マイクロバランス法を組み合わせた新しいタイプの検出法を適用し、実際にP. aeruginosa鋳型を持つポリピロール膜を使用した検出を行った。検出対象のP. aeruginosaに対しては数分以内に周波数変化が得られたが、それ以外のAcinetobacter calcoaceticus、Escherichia coli、Serratia marcescensについてはほとんど変化がなかった。Escherichia属やAcinetobacter属の鋳型を用いた場合も特異的な検出が可能であったことから、バクテリア鋳型膜が標的のバクテリアに対して高選択的認識能を持っていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下に挙げる項目の達成により次年度以降の研究を無理なく推進することができると考ため、本研究はおおむね順調に進展していると言える。 (1)様々なバクテリアに対して鋳型形成することが可能になった。 (2)複数のバクテリアに対して検出を行ったが、いずれも高い選択性で検出が達成された。
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今後の研究の推進方策 |
グラム陽性菌(例:黄色ブドウ球菌や枯草菌)を用い、ポリピロール/グラム陽性菌膜の作製とバクテリアの脱ドープによる鋳型形成と検出の可能性について検討を行う。また、蛍光染色したバクテリアを用いることで検出時のバクテリア挙動を観察し、検出機構の解明を試みる。
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