研究課題
これまでの研究から、バクテリアの種類(グラム陰性菌、グラム陽性菌)や形状を問わず負に帯電するバクテリアの鋳型膜作製~検出が可能であることが明らかになった。本年度は、特に迅速な検出が要求される食中毒菌をターゲットとした細菌鋳型膜の作製とターゲットに対するセンサ特性評価を行った。食中毒菌として用いた腸管出血性大腸菌O157のゼータ電位は-12 mVと負電荷を持つことがわかったため、これまでに構築した膜作製法を適用した。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた膜の表面観察から、腸管出血性大腸菌O157がポリピロール膜へ取り込まれていることが確認された。また、得られたSEM像から取り込まれた腸管出血性大腸菌O157をカウントしたところ、これまでに実績のある緑膿菌などのバクテリアと同程度の数のバクテリアが膜に取り込まれていることが明らかになった。さらに、過酸化処理を行うことで取り込まれたバクテリアの大半が膜から取り除かれ、腸管出血性大腸菌O157の鋳型作製に成功した。この鋳型膜のセンサ特性評価を行うため、食中毒菌として代表的なサルモネラ、ビブリオ、黄色ブドウ球菌を非検出対象としてセンサ応答の比較を行った。結果として、腸管出血性大腸菌O157に対する応答が非検出対象のバクテリアに対して10倍以上大きかったことから、センサ膜が高い検出特異性を持つことが明らかになった。一方、実サンプルを用いた検出では、リンゴジュース、魚肉ソーセージ、牛ブロック肉に検出対象の大腸菌を添加し一定時間放置後に検出を行った。採取したどのサンプルからも周波数応答が得られ、本センサ膜が実サンプル分析に適応可能であることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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