研究者は、金属の酸化数が変化しにくいという銅元素の化学反応における特徴を活かした合理的触媒設計により、汎用性の高い有機ホウ素化合物を用いた高選択的合成反応を開発した。そしてこれらを不斉炭素-炭素結合形成反応に展開した。たとえば、世界初であるアルキルホウ素化合物の不斉アリル化や不斉共役付加を見出した。近年では、有機化合物に最も豊富に存在する炭素-水素結合の利用に着目し、これらの立体選択的変換反応を開発した。本研究は、銅触媒の化学の可能性を開拓した先駆的なものであり、銅触媒反応の新たな設計指針を打ち立てることで当該分野の拡大発展に大きく貢献した。
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