本研究で二置換[2.2]パラシクロファン化合物の新規実用的光学分割法の開発に成功した。分割した化合物は官能基変換が容易であり、様々な面不斉光学活性化合物を生み出す親化合物として利用できることが大きな特徴である。また、四置換[2.2]パラシクロファンの光学分割にも世界で初めて成功した。光学分割後の化合物を官能基変換させていくことで、例えば光学活性環状化合物を合成した。これを光励起させたところ極めて強く円偏光発光し、その円偏光発光異方性因子は0.013と見積もられた。有機化合物において異方性因子が0.01に達することは希であり、シクロファンの面性不斉のポテンシャルの高さを見出した結果と言える。
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