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2014 年度 実績報告書

光スイッチング型RESOLFT超解像蛍光顕微鏡のための蛍光スイッチング分子の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24685021
研究機関熊本大学

研究代表者

深港 豪  熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (80380583)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードフォトクロミズム / 蛍光スイッチング / 超解像顕微鏡 / 可視光
研究実績の概要

本研究では、H26年度のノーベル化学賞の受賞にも見られるように、近年著しい発展を遂げている超解像蛍光イメージングの分野において特に注目されている『光スイッチング型RESOLFT顕微鏡』に要求される特性をすべて満足する新しい蛍光スイッチングシステムの開発を目指している。
平成26年度の研究では、顕微鏡下での効率のよい光スイッチングを達成するために、その蛍光スイッチングが光学部品を透過しにくい紫外光ではなく可視光のみで可逆的なスイッチングが可能な新しい蛍光スイッチング分子の開発を試みた。試行錯誤の結果、ジアリールエテンの反応点炭素に共役系が繋がる形で共役色素を導入し、ジアリールエテンと色素間のLUMOレベルと分子配向を適切に調整することで、可視光により可逆的な光閉環-光開環反応を示す可視光応答性のジアリールエテンを開発することに成功した。開発した分子は両異性化反応ともに高い光反応転換率(>90%)を有しており、その分子設計指針は分子軌道計算を用いた理論解析により矛盾なく説明できた。
本研究で明らかとなった分子設計に基づく事で、より長波長側の光で可逆的な蛍光スイッチングが可能な分子を設計することも可能であり、超解像蛍光顕微鏡に適したスイッチング分子を開発することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究課題はH26年度中に完了する予定であったが、研究者自身の研究機関の異動が決まり、一定期間、研究を一時的に停止せざる得なかった。そのため、予定していた研究期間をH27年度まで延長せざる得ない状況となってしまったため、『やや遅れている』と判断した。しかしながら、研究内容自体は目的に向けて着実に前進しているため、H27年度で完了できるものと考えている。

今後の研究の推進方策

今後の研究では、これまでに明らかとしてきた非線形的な蛍光消光を示す蛍光性フォトクロミックナノ粒子に、H26年度に明らかとした可視光のみで可逆的なスイッチングが可能な分子設計指針を応用し、可視光のみで可逆的かつ効率よい蛍光スイッチングが可能な新しい蛍光性フォトクロミックナノ粒子の作成を試みる。
得られた蛍光性フォトクロミックナノ粒子を用いた、蛍光顕微鏡下における単一粒子レベルでの蛍光スイッチング挙動および繰り返し耐久性の評価を行う。RESOLFT型超解像蛍光顕微鏡に対して、十分な蛍光スイッチング挙動と繰り返し耐久性が確認された後は、実際に、その蛍光性フォトクロミックナノ粒子を用いた光スイッチング型RESOLFT超解像蛍光イメージングの実験を行い、達成される空間分解能、イメージング速度、および、どの程度繰り返してイメージングが可能かについて評価を行う。場合によっては、得られた結果を分子設計にフィードバックし、最適な分子の開発を試みる。
これにより、究極的な単一分子スケールの空間分解能を達成しうる超解像蛍光イメージングの実現を目指す。

次年度使用額が生じた理由

研究者自身の研究機関の異動に伴い、進行していた実験を一時的に停止せざる得ない状況が生じた。そのため、光スイッチング型RESOLFT超解像蛍光顕微鏡のための蛍光スイッチング分子の開発に関する研究成果をまとめるために予定していた最終的な実験を行えてたらず、その実験及び成果報告に必要となる予定の研究経費を使用することができなかったため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

上記に記載したように、研究者の異動に伴い実験が一時的に停止していたため、予定していた実験を行えていない状況にある。そのため、次年度使用額はそれらの実験を遂行するための消耗品を購入するために大部分を使用する。また、それにより得られた研究成果を発表するための学会旅費および印刷代として使用する予定としている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Molecular design strategy toward diarylethenes that photoswitch with visible light2014

    • 著者名/発表者名
      T. Fukaminato, T. Hirose, T. Doi, M. Hazama, K. Matsuda, M. Irie
    • 雑誌名

      Journal of the American Chemical Society

      巻: 136 ページ: 17145-17154

    • DOI

      10.1021/ja5090749

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Anisotropic dissymmetry factor, g: Theoretical investigation on single molecule chiroptical spectroscopy2014

    • 著者名/発表者名
      M. Wakabayashi, S. Yokojima, T. Fukaminato, K.-I. Shiino, M. Irie, S. Nakamura
    • 雑誌名

      Journal of Physical Chemistry A

      巻: 118 ページ: 5046-5057

    • DOI

      10.1021/jp409559t

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Complete ON/OFF photoswitching of the motility of a nanobiomolecular machine2014

    • 著者名/発表者名
      K. R. S. Kumar, T. Kamei, T. Fukaminato, N. Tamaoki
    • 雑誌名

      ACS Nano

      巻: 8 ページ: 4157-4165

    • DOI

      10.1021/nn5010342

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Photochromism of diarylethene molecules and crystals: Memories, switches, and actuators2014

    • 著者名/発表者名
      M. Irie, T. Fukaminato, K. Matsuda, S. Kobatake
    • 雑誌名

      Chemical Review

      巻: 114 ページ: 12174-12277

    • DOI

      10.1021/cr500249p

    • 査読あり
  • [学会発表] 可視光で可逆的なフォトクロミズムを示すジアリールエテンのための分子設計指針2015

    • 著者名/発表者名
      深港 豪・廣瀬 崇至・松田 建児・入江 正浩
    • 学会等名
      日本化学会第95春季年会
    • 発表場所
      日本大学理工学部船橋キャンパス/薬学部
    • 年月日
      2015-03-26 – 2015-03-29
  • [学会発表] 分子の配向を考慮したときの円二色性と円偏光が不完全であることの影響について2014

    • 著者名/発表者名
      若林政光・横島 智・深港 豪・中村振一郎
    • 学会等名
      2014年光化学討論会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2014-10-11 – 2014-10-13
  • [学会発表] Synthesis of azobenzene-peptides and their application as a photoresponsive inhibitor for ON/OFF photoswitching of the motility of a nanobiomolecular machine2014

    • 著者名/発表者名
      K. R. Sunil Kumar, T. Kamei, T. Fukaminato, N. Tamaoki
    • 学会等名
      2014年光化学討論会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2014-10-11 – 2014-10-13
  • [学会発表] 蛍光性ジアリールエテンナノ粒子の非線形蛍光スイッチング2014

    • 著者名/発表者名
      深港 豪・ス ジア・メティヴェ レミ・中谷圭太郎
    • 学会等名
      2014年光化学討論会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2014-10-11 – 2014-10-13

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公開日: 2016-06-01  

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