研究課題/領域番号 |
24685022
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
矢貝 史樹 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80344969)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | メカノクロミズム / 金錯体 / 発光材料 / 刺激応答性材料 / 自己組織化 / 液晶 |
研究概要 |
今年度は、両親媒相互作用と双極子モーメントの反発により準安定構造を形成するπ共役化合物について論文投稿を目標とし、研究を進めた。力学的な刺激によって黄、橙、緑の3色に変化する各相の構造を粉末X線、熱分析、偏光顕微鏡を用いて精査した。その結果、会合体、液晶、結晶と相転移が起こっている事が明らかになった。特に会合体に関しては、放射光施設を用いた2次元XRDによって詳細なパッキング構造が明らかになり、πスタックの存在が示唆された。さらに、リチウムイオンの水溶液を液晶相に沁み込ませる事で、結晶相への転移を制御可能である事も見出した。このイオン応答性を用い、MICROJET社との共同研究の元にインクジェットイメージングに取り組んだ。その結果、解像度数10ナノメートルではあるが、光照射によって読み取る事が出来る蛍光イメージングデバイスの開発に成功した。以上の結果を論文にまとめ、Nature Communication誌に現在投稿中である。 また、金錯体についても継続的に研究を進めており、コレステロール部位をもちいて金錯体をファイバーおよび球状のマイクロサイズの組織体に集積化する事に成功した。この組織体は青と緑の発光を示し、局所的な分子間相互作用と巨視的な集積構造の相関を明らかにすることができた。この結果は既にChemical Communications誌に論文として報告されている。両親媒性相互作用と金―金相互作用を競合させる事で、従来とは逆のアモルファスから結晶への相転移を示す材料の開発に成功した。この特性を用い、機械的な刺激により白色発光を示す材料の開発に成功しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究は非常に順調に進んでいる。当初目的としていた両親媒相・双極子デザインによる準安定材料に関しては、論文投稿までに3年を要する予定であったが、2年で投稿が完了し、既に審査員から2度の修正依頼を受けるところまで来ている。また、金錯体に関しても従来の路線とは異なるが新たな物性をみいだすことができ、当初の予想以上の成果を上げられるものと確信している。
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今後の研究の推進方策 |
両親媒相・双極子デザイン材料に関しては、今度、液晶-結晶転移に焦点を当て、イオン選択制の研究と発光の多色化に取り組む。また、白色発光を示す金錯体について、極めて新規性が高いために1年で論文投稿まで到達する事を目的とし、この系に注力して研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度出席予定であった学会への参加が都合により不可能であったため、旅費として確保していた予算が余ったため。 来年度の学会参加にかかる旅費として使用する予定である。
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