研究課題/領域番号 |
24685024
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山田 亮 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (20343741)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 磁気抵抗効果 / 単分子接合 / 単分子エレクトロニクス |
研究概要 |
今年度は、単分子接合の磁気抵抗効果の起源を探るための研究として、1.極低温対応の測定装置の設計と試作、2.単分子接合における電極と分子の接合部分の効果を明らかにするため、チオール基以外の官能基を用いた実験を行った。 1.極低温対応測定装置の開発 極低温対応の測定装置の設計と試作では、研究室保有のクライオスタットにとりつけるための小型装置を開発した。これまで、圧電素子を利用して駆動していた破断装置を、小型の極低温対応ピエゾステップモーターに置き換え、以下の2項目を確認した;(1)室温でステップ駆動でも圧電素子と同様の測定結果が得られること。(2)クライオスタットに取り付け、真空、40Kでも目的の動作を行えること。到達温度が目標の4K台に到達しなかったが、これは、熱シールドなどが最適化されていないためと考えられる。今後は、より冷却効率が高く、また、超電導磁石を内蔵した物性測定装置(PPMS)を利用した測定装置を開発する。 2.単分子接合における電極と分子の接合部分の効果 これまで分子と電極をつなぐ官能基としてはチオール基を用いてきた。他の結合性官能基として、アミノ基に注目し、(1)ジアミノベンゼンがNi電極と結合し、おおよそベンゼンジチオールの半分の電気伝導度を示すこと、(2)ベンゼンジチオールに比べて弱い磁気抵抗効果を示すことを明らかにした。この結果から、電極/分子結合界面が磁気抵抗効果に大きな役割を果たしていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
極低温関連の装置開発は、予算の変動などにより当初予定していたクライオスタットや真空装置の購入を見合わせ、既存設備を有効利用することとした。このため、設計変更などが必要となったものの、予想していた範囲の動作内容を実現できた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、極低温高磁場環境可に対応する測定装置を開発し、電気伝導特性を特徴付ける外部変調効果の実現と、精密な電流測定の実現を通じ、単分子接合を通じたスピン依存伝導機構の解明に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していた真空部品や制御系の機材を節約できた分、次年度は、リサーチアシスタントなどの人件費あるいはクライオスタットなどの経費に充てる。
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