不飽和度の高いアセチレンを集積させた多孔性材料は、物理的、化学的に水素を吸蔵できる可能性を秘めている。本研究では、アセチレンを明確な幾何配置に固定した環状共役分子(DBA)を用いて、多孔性の金属有機構造体(MOF)あるいは非共有結合性構造体を構築し、物理的および化学的な水素吸蔵が可能な材料の開発を目指した。まず、DBA分子と、各種ガス分子との親和性を計算化学によって定量的に評価した。さらに、DBAの一連のカルボン酸誘導体を配位子として用い、内部に空間を有したMOFの構築に成功した。また、水素結合によってDBAをネットワーク化した多孔質構造体の構築にも成功し、そのガス吸着挙動を確認した。
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