研究課題/領域番号 |
24685028
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
水上 進 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30420433)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ナノ粒子 / イメージング / MRI |
研究実績の概要 |
独自に開発した、常磁性緩和促進効果に基づく、シグナル応答性19F MRIプローブの設計原理を利用して、生体内還元環境を検出するナノ粒子型プローブの開発に取り組んだ。Gd3+錯体とPFC内包シリカナノ粒子の間をジスルフィド結合で連結させたナノ粒子を作製した。この機能性ナノ粒子に還元剤であるトリスカルボキシエチルホスフィン(TCEP)を作用させると、19F MRIシグナルの上昇が観察された。他の還元剤であるジチオスレイトール(DTT)等を作用させることによっても、MRIシグナルの上昇が観察され、本プローブが還元環境に応答してMRIシグナルが増大するプローブであることが示された。また、前年度に行ったプロテアーゼ(カテプシンK)活性検出ナノ粒子プローブについてプローブ特性の改良を行った。ナノ粒子表面に基質ペプチドを修飾し、その端にGd3+錯体が修飾されているプローブ構造では、標的プロテアーゼが接近しにくく、長い反応時間が必要であった。そこで、ペプチドとGd3+錯体の間のリンカー構造の最適化を行ったところ、アルキル鎖の鎖長を伸長させることで、反応速度の劇的な改善が観察された。現在、生きた動物個体内の酵素活性検出に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の生体シグナルに応答するナノ粒子型19F MRIプローブを開発した。また、分子設計によって標的プロテアーゼとの反応速度の改善を達成した。これによりin vivoにおける酵素活性のMRI検出に一歩近づいた。
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今後の研究の推進方策 |
in vivo酵素活性の検出に向けて、MRI測定を行う。その結果を元に、ナノ粒子プローブの改良を行い、粒子の作製、物性測定、形態観察を行った後、in vivo実験を行う。また、細胞系における観察の為に、顕微鏡観察システムの改良も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に生細胞系におけるナノ粒子プローブの機能・動態計測システムを構築し、研究成果発表までを完了させる予定であったが、測定機器の選定・納入に当初の予定以上の時間がかかり、実験・解析・考察に十分な時間が取れなかったことから、平成26年度の実験予定の一部を引き続き27年度において遂行する為。
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次年度使用額の使用計画 |
延長予定の実験に必要な消耗品および装置部品の為の物品費に充てる。また、一部は平成26年度に予定していた成果発表の為の旅費に使用する。
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