研究課題
ナノシートとは、ホスト層とゲスト種からなる層状化合物を水溶液中で剥離することによって得られる二次元平面の単結晶子であり、その厚さはホスト層1層の厚さ(約1nm)とほぼ一致する。れまでの研究で、赤、緑、青の光の3原色に発光するペロブスカイト型酸化物の発光ナノシートや、ナノシートと層間希土類イオンの発光を電圧印可により制御できることが分かっている。そこで、本研究では発光ナノシートの特徴を活かした新しい発光デバイスの開発に取り組んだ。開発の課題として蛍光ナノシートの物性は主にフォトルミネッセンス特性程度しか明らかになっておらず、光電子デバイスを作製するためには、ナノシートのキャリアタイプ、キャリア濃度、キャリア移動度などの物理特性がよく分かっていないという課題がある。このような背景のもと、以下の研究をを実施した。1)ナノシート1枚のキャリア濃度の測定:ホール効果測定装置やモットショットキープロットにより、作製したn型半導体やp型半導体ナノシートのキャリア濃度の測定やキャリアタイプの測定を行った。測定によって得られたキャリア濃度は10+4~10+9と非常に小さい結果となった。信頼できるデータであるかの検証が今後必要である。2)異種ナノシートpn接合構造を持つ超極薄エレクトロルミネセンス素子の作製:厚さ1.5nmのn型のナノシートと厚さ0.3nmのナノシートを接合して、厚さ2nmの非常に薄いpn接合を作成した。当初、pn領域が空乏層形成に必要な厚みよりも非常に薄い場合、電子密度は離散的になり量子井戸型構造をとると予想されたが、表面電位測定によりナノシート間でキャリアが移動していることが明らかとなった。3)発光中心の直接観察:発光中心がナノシートのどのサイトに位置するかこれまで直接観察に成功した例はなかったが、本研究により1原子発光中心と2原子発光中心を明瞭に観察することができた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of the American Chemical Society
巻: 136 (5) ページ: pp. 1872-1878