研究課題
本研究では、高垂直磁気異方性を有する磁性体薄膜の示す数百GHz以上のコヒーレント磁化才差ダイナミクスをパルスレーザーを用いて研究し、1 THz以上のコヒーレント磁化才差ダイナミクスを実用合金薄膜において観測することを主たる目的とする.最終的には,テラヘルツ領域における磁化ダイナミクスを開拓するとともに,テラヘルツ波応用への知見を得る.計画最終年度は、当初の計画に従い、次の事項について検討することで目的達成を目指した。①超高磁気異方性磁場を有するフェリ磁性材料薄膜の磁化ダイナミクス 前年度に20 T前後の超高磁気異方性磁場を有するMn3Ge単結晶薄膜の作製に成功し、予備的評価から0.5 THzのコヒーレント磁化才差ダイナミクス(フェリ磁性の同位相モード)を観測している。本年度は、様々な条件で作製された試料の系統的評価を進めた。周波数は最大で0.56 THzであり、ダンピング定数は比較的小さい。また、光励起メカニズムは、熱的過程で定性的に説明できることが分かった。これらの結果の一部は国際会議や招待講演で報告された。②積層フェリ磁性体における高周波磁化才差ダイナミクス Mn系合金と他の磁性材料を積層すると強い反強磁性相互作用が生じることが前年度に見出されている。本年度は、これを発展させ、1 THzに迫る磁化ダイナミクスを示す高磁気異方性人工フェリ磁性多層膜の創製を試みた。いくつかの材料を検討した結果、ホイスラー合金Co2FeAlとMn-Ga合金の多層膜が良好な垂直磁化人工フェリ磁性を示すことを見出した(論文発表済)。この系においては、層の厚みを最適化することで、異方性定数が数Merg/cm3でかつ磁化がほぼ補償された試料が実現でき、Mn3Geと同様のテラへルツ磁化ダイナミクスを期待できる。これに対する磁化ダイナミクスの評価を現在も進めている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 7件) 備考 (1件)
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